小河一敏

小河一敏

小河一敏（おごう かずとし）は、文化10年（1813年）に豊後国竹田（現在の大分県竹田市）で生まれ、明治19年（1886年）に亡くなった幕末から明治にかけての人物です。岡藩士の子として生まれ、幼少期から朱子学や陽明学を学びました。また、詩歌や文章にも才能を発揮し、早くから尊王攘夷の思想を抱いていました。

尊王攘夷運動への参加

嘉永6年（1853年）の黒船来航を機に、小河は九州北部各地を遊説し、尊王攘夷運動に身を投じます。久留米藩の真木和泉や熊本藩の宮部鼎蔵らと交流を深め、安政6年（1859年）には国学者の平田銕胤が主催する気吹舎に入門し、平田延胤と親交を深めました。藩論が尊王派と佐幕派に分裂すると、小河は尊王派の指導者として活動し、薩摩藩と連携して倒幕を計画しますが、文久2年（1862年）の寺田屋騒動で挫折します。

しかし、小河は活動を諦めませんでした。寺田屋騒動後も薩摩藩邸に身を寄せながら、中国・四国・九州地方の諸藩と連携し、朝廷を中心とする新体制の確立を目指しました。また、小河は岩倉具視と平田延胤を引き合わせたことでも知られています。

明治維新後の活躍

新政府が成立すると、小河は慶応4年（1868年）に太政官に出仕し、参与や内国事務局判事を歴任。その後、大阪府判事、堺県知事を務めました。堺県知事時代には、養蚕業の導入など殖産興業に尽力しましたが、明治3年（1870年）に大和川の堤防修築費用を独断で県札で賄ったことが問題視され、免官となります。しかし、和泉・河内の民衆は小河の功績を称え、記念碑を建てました。

免官後、小河は宮内大丞に任ぜられますが、翌年には再び免官となります。その後、修史局や修史館で史料編纂に携わり、明治10年（1877年）には宮内省権少書記官に、明治14年（1881年）には宮内省御用掛に任ぜられました。

人物と逸話

小河一敏は、学識豊かで、行動力のある人物として知られていました。尊王攘夷運動の初期から活動し、明治維新後も新政府の中枢で活躍しました。また、機転が利く人物で、次のような逸話が残されています。

ある時、明治天皇が昔の養育係である田中河内介の消息を尋ねた際、誰も答えられずにいる中、小河は「薩摩へ護送の際に同志に刺殺され、非業の死を遂げました」と答えたとされています。

墓所

小河一敏の墓所は、東京都豊島区駒込の染井霊園にあります。

登場作品

テレビドラマ『西郷どん』（2018年、NHK大河ドラマ、演：出口高司）

参考文献

歴史スペシャル編集部 編『ビジュアル幕末1000人』世界文化社、2009年12月。ISBN 978-4-418-09234-5。
『堺市史 第七巻別編』堺市役所、1930年。

外部リンク

国立国会図書館憲政資料室 小河一敏関係文書

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