小泉惠子

小泉惠子（こいずみ けいこ）は、日本の声楽家（ソプラノ）であり、音楽教育者としても知られています。その名前は「恵子」と表記されることもあります。

経歴

1977年、東京藝術大学を卒業。畑中良輔、三浦智津子に師事し、声楽の研鑽を積みました。1976年には、大学在学中に芸大『メサイア』でソプラノソロを務め、その才能を早くから開花させました。卒業時には、NHK新人演奏会やFMリサイタルに出演するなど、注目を集めました。

1977年から1978年にかけては、アメリカ・サンフランシスコ音楽院に留学し、レノアール・ホザックに英・独歌曲とオペラ、レオポルド・シモノーに仏歌曲を学びました。特に、ベラ＝ローザ（キリ・テ・カナワの師）からは特別な指導を受け、その才能を高く評価されました。東京藝術大学大学院修士課程修了後、第一回奏楽堂日本歌曲コンクールで第一位を獲得、山田耕筰賞・木下記念金メダルを受賞するなど、数々の賞に輝いています。

1992年11月には、「第65回青の会」三善晃歌曲の夕べにて、歌曲集『聖三稜は璃』全曲をソプラノ独唱で披露（共演/瀬山詠子他）。1993年1月1日には毎日芸術賞、特別賞を受賞。ロシア、フランス、イタリアなど海外での活動も活発で、1997年6月にはロシア・サンクトペテルブルクのスモルヌイ音楽堂にて、エレーナ・オブラスツォワとのジョイントリサイタルで聴衆を魅了しました。その演奏は、現地の各新聞批評にて絶賛され、スタンディング・オーヴェイションを浴びました。1999年9月には、ロシア・サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で開催された第一回エレーナ・オブラスツォワ国際オペラコンクールで公式ゲスト・特別審査員を務め、前夜祭コンサートおよび開会記念コンサートでエレーナ・オブラスツォワ、ガリーナ・ゴルチャコーワらと共演しました。第4回の同コンクールからは審査員も務めています。

2000年5月には、新国立劇場小劇場において、新国立劇場・東京室内歌劇場主催の〈オペラ400年記念〉カヴァリエーリ作曲典礼劇『魂と肉体』（日本初演）にて、タイトルロール「魂」役を演じました。2003年からは、奏楽堂日本歌曲コンクールなどの審査員も務めています。現在も、宗教曲、日本歌曲、オペラ、オペレッタ、現代曲など幅広いジャンルで、国内外で演奏活動を行っています。

また、小泉の門下生で構成される声楽家グループ「声泉会（せいせんかい）」が組織されており、音楽大学で声楽を学ぶ学生や卒業生を中心に活動しています。

教育者としては、聖徳大学人文学部音楽文化学科・大学院助教授を経て、2006年より国立音楽大学・大学院准教授に就任。国立音楽大学演奏・創作学科長、同大学院教授を経て、2020年現在は国立音楽大学演奏・創作学科声楽専修特任教授を務めています。青の会会員、東京室内歌劇場会員でもあります。

エピソード

小泉は、歌唱力だけでなく、その容姿にも恵まれていました。慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団第105回定期演奏会（1980年）で、レハール『メリー・ウィドウ』が取り上げられた際、指揮者の畑中良輔が主役のハンナ役（美貌の若き未亡人という設定）に、当時芸大大学院在学中だった小泉を抜擢したことは有名なエピソードです。その後もワグネルは2回『メリー・ウィドウ』を演奏しており、いずれもハンナ役は小泉が務めました。

ディスコグラフィー

※現在入手可能なもののみを記載。

『六つの浪漫』－小泉惠子 木下牧子を歌う－花岡千春（ピアノ）と共に紡ぐ安らぎの世界－ 2011/6/25 ナミ・レコード
大中恩『愛の歌曲集4』－こんなしずかな晩は－ 小泉惠子ほか 2009/4/22 日本伝統文化振興財団
大中恩『愛の歌曲集5』－月曜日の詩集－ 小泉惠子ほか 2009/4/22 日本伝統文化振興財団
大中恩『愛の歌曲集6』－青い星－ 小泉惠子ほか 2007/5/23 日本伝統文化振興財団
ヴォカリーズ集『サンパロール』 小泉惠子／花岡千春 2007/11/7 日本伝統文化振興財団

外部リンク

声泉会

もう一度検索