小石駅
北海道宗谷郡猿払村字小石に位置していた小石駅（こいしえき）は、かつて北海道旅客鉄道（JR北海道）が運営していた天北線の駅で、同線の廃止に伴いその役目を終えた（廃駅）。電報略号はココ、事務管理コードは▲121914が割り当てられていた。
小石駅は、大正11年（1922年）11月1日、鉄道省（当時の国鉄）宗谷本線が鬼志別駅と稚内駅（現在の南稚内駅）の間で延伸開業し、宗谷本線が全通した際に、一般駅として営業を開始した。開業当初から貨物や荷物も扱う駅であった。
昭和5年（1930年）4月1日には、音威子府駅から稚内駅までの区間が宗谷本線から分離され、「北見線」として新たな路線が設定されたことに伴い、小石駅はこの北見線の駅となった。その後、昭和36年（1961年）4月1日には北見線が「天北線」と改称され、駅は天北線所属となった。
戦後の石炭増産政策を受けて、昭和22年（1947年）頃には駅に隣接する形で北海道拓殖炭鉱の専用線が開業し、後に藤田炭鉱宗谷鉱業所専用線となった。この専用線は、昭和42年（1967年）3月に炭鉱の閉山と共に廃止されている。
昭和48年（1973年）9月17日、小石駅における貨物と荷物の取扱いが廃止された。これと同時に、切符の販売や改札業務、そして列車の交換に使用されていた設備の使用も停止され、旅客業務については駅員が常駐しない無人駅（簡易委託駅）となった。長大な駅間を一つの閉塞区間としてしまう状況を避けるため、また当駅発着列車の設定があったため、無人化後も閉塞扱いは続き、運転要員が配置されていた。しかし、昭和61年（1986年）11月1日にはこの閉塞扱いも取りやめとなり、駅は完全に無人化された。
昭和62年（1987年）4月1日、国鉄の分割民営化により、小石駅は北海道旅客鉄道（JR北海道）の運営する駅となった。そして、平成元年（1989年）5月1日、天北線が全線廃止されたことに伴い、小石駅もまたその歴史に幕を下ろした。
駅名は、駅が設けられた場所の付近にある浜辺に、「小石」が多く見られたことに由来すると伝えられている。
駅が廃止された時点では、線路の北側（南稚内駅方向に向かって右側）に設けられた単式のホームが1面1線ある地上駅であった。かつては、相対式のホームを2面2線備え、列車の交換が可能な駅であった。昭和58年（1983年）の時点で、使用されなくなった外側の線路1本は、交換設備の使用が停止された後も、音威子府駅側の分岐器と線路の一部が撤去された、行き止まりの側線として残されていた。
無人駅（簡易委託駅）となってからも、有人駅として使用されていた時代の木造駅舎がそのまま残存していた。駅舎は構内の北側に位置し、ホームの中央部分に隣接していた。
小石地区は、かつて炭鉱産業で栄え、賑わいを見せた集落であった。昭和58年（1983年）の時点でも、小規模ながら露天掘りの炭鉱が稼働を続けていた。周辺には北海道道138号豊富猿払線や北海道道889号上猿払清浜線といった主要な道路が通り、小石簡易郵便局やオホーツク海陸食品株式会社などの施設、そして鬼志別川が流れている。
かつては、天北線の廃止後にその代替として宗谷バスが運行するバス路線があったが、平成23年（2011年）10月1日の経路変更により、このバスが小石駅付近を経由しなくなったため、小石と曲淵の間における公共交通機関によるアクセスは途絶えた。現在は、猿払村が鬼志別方面との代替としてデマンドバスを運行している。
小石駅の跡地には、天北線の歴史を偲ぶ記念碑が建立されている。平成13年（2001年）時点で地元自治会によって「望郷」と刻まれた石碑が建てられており、隣には「小石駅」と記された看板も設置されていた。平成22年（2010年）時点でもこれらは変わらず残されていた。平成23年（2011年）の調査では、跡地が駐車場として利用されている様子が確認され、また「小石交流センター」という建物も建設されている。
駅名標から取り外された駅名の表示部分は、鬼志別駅跡に建てられた「鬼志別バスターミナル」の1階にある天北線の資料展示室に保管・展示されている。
かつて「日本最長駅間」としても知られた小石駅と曲淵駅を結ぶ山越え区間において、北海道道と並行する区間では、平成13年（2001年）の調査時に旧路盤を確認できた。平成22年（2010年）の調査でも同様に旧路盤や橋台などが確認されている。
北海道旅客鉄道 天北線
鬼志別駅 - 小石駅 - 曲淵駅
小石駅と隣の曲淵駅との間の距離は17.7kmあり、青函トンネルが開業して竜飛海底駅と吉岡海底駅の間が更新されるまで、途中に信号場を含まない、当時の日本における駅間距離としては最も長い区間であった。
藤田炭鉱宗谷鉱業所専用線は、戦後の石炭増産政策に基づき、北海道拓殖炭鉱の手によって昭和22年（1947年）に開業した産業用の鉄道線である。後に藤田炭鉱宗谷鉱業所の専用線となったが、昭和42年（1967年）3月に炭鉱が閉山したことに伴い、廃止された。
この専用線は、小石市街地の北西に位置する採炭地と小石駅を結ぶ1.0kmの路線で、緩やかな勾配が続いていた。初期には旧国鉄の5500形や1100形、後期には旧国鉄の8100形などが使用された。
歴史
小石駅は、大正11年（1922年）11月1日、鉄道省（当時の国鉄）宗谷本線が鬼志別駅と稚内駅（現在の南稚内駅）の間で延伸開業し、宗谷本線が全通した際に、一般駅として営業を開始した。開業当初から貨物や荷物も扱う駅であった。
昭和5年（1930年）4月1日には、音威子府駅から稚内駅までの区間が宗谷本線から分離され、「北見線」として新たな路線が設定されたことに伴い、小石駅はこの北見線の駅となった。その後、昭和36年（1961年）4月1日には北見線が「天北線」と改称され、駅は天北線所属となった。
戦後の石炭増産政策を受けて、昭和22年（1947年）頃には駅に隣接する形で北海道拓殖炭鉱の専用線が開業し、後に藤田炭鉱宗谷鉱業所専用線となった。この専用線は、昭和42年（1967年）3月に炭鉱の閉山と共に廃止されている。
昭和48年（1973年）9月17日、小石駅における貨物と荷物の取扱いが廃止された。これと同時に、切符の販売や改札業務、そして列車の交換に使用されていた設備の使用も停止され、旅客業務については駅員が常駐しない無人駅（簡易委託駅）となった。長大な駅間を一つの閉塞区間としてしまう状況を避けるため、また当駅発着列車の設定があったため、無人化後も閉塞扱いは続き、運転要員が配置されていた。しかし、昭和61年（1986年）11月1日にはこの閉塞扱いも取りやめとなり、駅は完全に無人化された。
昭和62年（1987年）4月1日、国鉄の分割民営化により、小石駅は北海道旅客鉄道（JR北海道）の運営する駅となった。そして、平成元年（1989年）5月1日、天北線が全線廃止されたことに伴い、小石駅もまたその歴史に幕を下ろした。
駅名の由来
駅名は、駅が設けられた場所の付近にある浜辺に、「小石」が多く見られたことに由来すると伝えられている。
駅構造
駅が廃止された時点では、線路の北側（南稚内駅方向に向かって右側）に設けられた単式のホームが1面1線ある地上駅であった。かつては、相対式のホームを2面2線備え、列車の交換が可能な駅であった。昭和58年（1983年）の時点で、使用されなくなった外側の線路1本は、交換設備の使用が停止された後も、音威子府駅側の分岐器と線路の一部が撤去された、行き止まりの側線として残されていた。
無人駅（簡易委託駅）となってからも、有人駅として使用されていた時代の木造駅舎がそのまま残存していた。駅舎は構内の北側に位置し、ホームの中央部分に隣接していた。
駅周辺
小石地区は、かつて炭鉱産業で栄え、賑わいを見せた集落であった。昭和58年（1983年）の時点でも、小規模ながら露天掘りの炭鉱が稼働を続けていた。周辺には北海道道138号豊富猿払線や北海道道889号上猿払清浜線といった主要な道路が通り、小石簡易郵便局やオホーツク海陸食品株式会社などの施設、そして鬼志別川が流れている。
かつては、天北線の廃止後にその代替として宗谷バスが運行するバス路線があったが、平成23年（2011年）10月1日の経路変更により、このバスが小石駅付近を経由しなくなったため、小石と曲淵の間における公共交通機関によるアクセスは途絶えた。現在は、猿払村が鬼志別方面との代替としてデマンドバスを運行している。
駅跡
小石駅の跡地には、天北線の歴史を偲ぶ記念碑が建立されている。平成13年（2001年）時点で地元自治会によって「望郷」と刻まれた石碑が建てられており、隣には「小石駅」と記された看板も設置されていた。平成22年（2010年）時点でもこれらは変わらず残されていた。平成23年（2011年）の調査では、跡地が駐車場として利用されている様子が確認され、また「小石交流センター」という建物も建設されている。
駅名標から取り外された駅名の表示部分は、鬼志別駅跡に建てられた「鬼志別バスターミナル」の1階にある天北線の資料展示室に保管・展示されている。
かつて「日本最長駅間」としても知られた小石駅と曲淵駅を結ぶ山越え区間において、北海道道と並行する区間では、平成13年（2001年）の調査時に旧路盤を確認できた。平成22年（2010年）の調査でも同様に旧路盤や橋台などが確認されている。
隣の駅
北海道旅客鉄道 天北線
鬼志別駅 - 小石駅 - 曲淵駅
小石駅と隣の曲淵駅との間の距離は17.7kmあり、青函トンネルが開業して竜飛海底駅と吉岡海底駅の間が更新されるまで、途中に信号場を含まない、当時の日本における駅間距離としては最も長い区間であった。
藤田炭鉱宗谷鉱業所専用線
藤田炭鉱宗谷鉱業所専用線は、戦後の石炭増産政策に基づき、北海道拓殖炭鉱の手によって昭和22年（1947年）に開業した産業用の鉄道線である。後に藤田炭鉱宗谷鉱業所の専用線となったが、昭和42年（1967年）3月に炭鉱が閉山したことに伴い、廃止された。
この専用線は、小石市街地の北西に位置する採炭地と小石駅を結ぶ1.0kmの路線で、緩やかな勾配が続いていた。初期には旧国鉄の5500形や1100形、後期には旧国鉄の8100形などが使用された。
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