小里城

小里城

小里城は、岐阜県瑞浪市に存在した山城です。戦国時代に小里氏によって築かれ、その歴史は周辺地域の興亡と深く結びついています。

歴史

小里城は、天文3年（1534年）に小里光忠によって、小里川南岸の城山に築かれました。それ以前は、付近の興徳寺西に小里新城があり、土岐氏や小里氏の居城であったとされています。小里氏は、土岐元頼、またはその子頼連を祖とすると伝えられています。元頼の戦死後、小里氏は各地を放浪しましたが、越前国の朝倉氏の支援を得て、土岐・恵那両郡の旧領を取り戻しました。

元亀元年（1570年）には、武田氏の家臣秋山虎繁が東美濃に侵攻した際、上村合戦で光忠と小里光次が討ち死にしました。その後、光忠の子・小里光明が城を守っていましたが、織田信長は岩村城を攻める際の拠点として、小里城に池田恒興を配置し、改修を行いました。

天正3年（1575年）、織田信長は岩村城攻めの際に小里城に立ち寄り、「良き城である」と評し、小里光久に与えることを約束しました。翌年には織田信忠が10日間ほど滞在し、美濃の武士に命じて城の改修を大規模に行いました。これは、上村合戦で討ち死にした光忠と光次のための補償の意味合いもありました。

しかし、天正11年（1583年）には、小里光明が織田信孝に仕えたものの、賤ヶ岳の戦いで豊臣秀吉に敗れ、その後、森長可によって小里城を離れることになりました。光明は三河に移り、和田姓を名乗り、徳川家康に仕えました。

慶長5年（1600年）、光明の子・小里光親は関ヶ原の戦いの前哨戦で功績を挙げ、旧領を回復し、3,620石の旗本となりました。その際、小里城は取り壊され、近くに小里陣屋を構えました。元和9年（1623年）、光親の子・光重が亡くなり、小里氏は断絶しました。

遺構

現在、小里城跡は岐阜県の史跡に指定されており、山頂部の本丸跡、北西山麓の御殿場跡、そして東側の尾根上にある東砦跡が残っています。

本丸跡: 不等辺六角形の天守台があり、石垣が三段に組まれています。また、升形と呼ばれる石組み遺構や、曲輪跡も確認できます。
御殿場跡: 16世紀後半に造成され、17世紀初頭には大型の礎石建物（小里氏の陣屋）が建てられていました。大手門跡、御殿跡、井戸跡、石垣などが残っています。この場所は、小里氏の陣屋であったと考えられています。
東砦跡: 本丸の東側に位置する砦の跡です。

評価

小里城の遺構は、史料に記された小里氏の歴史とよく照応しており、近世初頭の城館（陣屋）遺構が良好な状態で残っている点で、非常に貴重です。小里氏の実像解明や、江戸時代初期の旗本陣屋の研究において重要な遺跡であると評価されています。

現地情報

アクセス

JR中央本線瑞浪駅から東鉄バス明智線「明智駅」行きに乗車し、「山の田」バス停で下車します。そこから小里城跡のある山の麓まで約2kmの距離です。

関連項目

日本の城一覧
妻木城
織田氏
池田氏
森氏

参考文献

東海の城 (探訪ブックス. 城 ; 4)　小里城　p154～p155 小学館　1981年.
美濃古戦記史考 : 六古記原文とその注釈　和田殿最期　 併小里城没落之事　p155～p165 渡辺俊典 　瑞浪市郷土史研究会　1969年
東海の名城を歩く 岐阜編 小里城　p153～p156 中井均, 内堀信雄 吉川弘文館, 2019年

外部リンク

小里城 - 瑞浪市経済部商工課
小里城 - 瑞浪市スポーツ文化課文化振興係
* 小里城跡　瑞浪市役所

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