妻木城

妻木城とは

妻木城は、岐阜県土岐市妻木町に位置する山城で、標高409mの城山山頂に築かれました。この城は、かつて明智氏の所領でしたが、後にその一族とされる妻木氏の居城となり、次第に整備されていきました。妻木城主は、代々陶器の生産を奨励し、織部焼や志野焼に代表される美濃焼の基礎を築いた領主としても知られています。現在、城跡は岐阜県指定史跡として保存されており、歴史を偲ぶことができます。

歴史

南北朝時代

妻木城の築城は、南北朝時代の暦応2年（1339年）に、土岐頼貞の孫である明智頼重によって、家臣育成の訓練場として築かれたという説がありますが、他にも諸説あります。

戦国時代

戦国時代に入り、土岐氏が衰退すると、妻木城は明智氏の所領となり、さらにその一族である妻木氏の居城となりました。天正10年（1582年）の本能寺の変後、山崎の戦いでは、当時の城主であった妻木広忠が明智軍に属し敗北、自刃しました。その後、妻木頼忠が城主となりました。

その後、森長可が土岐郡や恵那郡の反抗勢力を掃討する中で、妻木城にも従うよう要求しましたが、頼忠はこれを拒否し、森軍と戦うことになります。最終的に和議が成立し、妻木氏は森氏に従属しました。しかし、この戦いは、妻木氏が明智側の勢力である遠山氏らと共に、信長の重臣であった森氏の勢力を排除しようと画策したことが原因とも言われています。

天正12年（1584年）の小牧・長久手の戦いでは、頼忠は森長可の家臣であったため豊臣秀吉側につき、内津峠に布陣しました。

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、頼忠は徳川家康側につき、東濃地方を守るよう命じられ、西軍側の岩村城主・田丸直昌と戦いました。その際、田丸方の武将が妻木城に近い場所に土岐砦を築き、妻木軍の行動を封じようとしましたが、頼忠はこれを撃破。また、遠山氏、小里氏とともに明知城と小里城を奪還し、岩村城を攻めようとしましたが、岩村城は難攻不落であり、苦戦を強いられました。しかし、関ヶ原の戦いが東軍の勝利に終わったことで、岩村城の田丸直昌も降伏しました。

江戸時代

関ヶ原の戦いでの功績により、頼忠は徳川家康からこの地域を所領として与えられました。しかし、山上の城での生活が不便であったため、城の北側の山麓に屋敷を築き、移り住みました。元和年間（1615年 - 1624年）頃には、城は放棄され、山麓の屋敷が政治の中心となりました。

現在の妻木城

現在、妻木城跡には本丸や二の丸の跡に小さな神社が祀られています。城跡は整備されており、石垣や曲輪、土塁などの遺構を見ることができます。山麓には妻木城士屋敷跡があり、こちらも石垣などの遺構が整備されています。

妻木城への登城ルートは二つあり、一つは妻木城士屋敷跡の脇から登るルート、もう一つは名岐国際ゴルフ場の妻木口から林道を通って登るルートです。

構造

妻木城は、妻木川左岸の丘陵先端に位置する山城で、山頂に主郭や二の郭が配置されています。大手は北麓の妻木氏館から繋がっており、緩斜面の尾根には小郭が配置されています。また、南西・南側の尾根にも郭群が設けられ、谷地を防御する構造となっています。

妻木城士屋敷

妻木城士屋敷は、妻木城の北側山麓にあった領主御殿や家臣屋敷の総称です。この屋敷は、江戸時代に入ってから妻木氏が断絶するまで本拠地となりました。近くの崇禅寺には、移築された屋敷の門や、歴代城主の墓があります。

妻木頼忠がこの地域を与えられた際に建てられ、次第に妻木城からこの屋敷に拠点が移りました。しかし、妻木氏の本家は3代で断絶し、屋敷も放棄されました。その後、妻木幸広が上郷に陣屋を築き、上郷妻木家として存続しました。

屋敷跡には、南から北へ向かう緩斜面に3段に普請された石垣や、上段の城主居館の井戸跡、庭園跡、門跡などの遺構が残っています。石垣の中央部には虎口と思われる大石段があり、南側の山裾には石塁で補強された溝があります。

城主一覧

妻木頼忠
妻木頼利
妻木頼次

家臣屋敷

沢井・土本・好安・仙石・水野・本田・小栗・安藤・那須・中垣・塚本・酒井・山神・豊部・土屋・有川・小池・高野・中條・芦尾・松本・奥村・ 加藤他

アクセス

公共交通機関

東鉄バス: JR中央本線多治見駅または土岐市駅から「妻木上郷」バス停下車、徒歩約40分。

自動車

東海環状自動車道 土岐南ICより約10分。

所在地

岐阜県土岐市妻木町上郷

脚注

妻木城は、岐阜県指定の史跡です。

関連項目

日本の城一覧
八幡神社
崇禅寺
土岐市
妻木町

外部リンク

妻木城址の会
妻木城/マップ
妻木城址 - ウェイバックマシン
東鉄バス妻木線 時刻表
東鉄バス土岐=妻木線 時刻表

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