尹礼

尹礼（いん れい、生没年不詳）は、中国後漢末期の武将です。出身地は不明ですが、臧覇（ぞうは）、孫観（そんかん）らと初期から行動を共にしているため、兗州泰山郡（えんしゅうたいざんぐん）の人である可能性が高いとされています。『三国志』魏書臧覇伝の注に引く『魏略』によれば、「盧児（ろじ）」という別名も有していたと伝えられています。

正史における事跡

元々は泰山付近で独立した小勢力を有していました。臧覇が開陽（かいよう）で独立勢力を立ち上げると、尹礼は孫観、呉敦（ごじゅん）と共にその配下となっています。

曹操（そうそう）と呂布（りょふ）が対立した際には、臧覇に従い呂布の味方をしました。しかし、建安3年（198年）に曹操が呂布を滅ぼすと、臧覇らと共に曹操に降伏しました。臧覇が琅邪国相（ろうやこくしょう）に任命されると、尹礼も東莞太守（とうかんたいしゅ）に任命されるという厚遇を受けました。その後、尹礼の名は史書に現れません。

なお、黄初3年（222年）に、呉（ご）に侵攻した魏軍（ぎぐん）が徐盛（じょせい）に撃ち破られましたが、このとき戦死した魏将に「尹盧（いんろ）」という人物がいます。これは、かつて「盧児」と渾名されていた尹礼を指している可能性も指摘されています。

物語中の尹礼

小説『三国志演義』では、当初は臧覇の部下ではなく、孫観、呉敦、昌豨（しょうき）と共に、泰山の山賊として扱われています。曹操と呂布の決戦の際に、臧覇の勧誘により呂布と同盟を結び、蕭関（しょうかん）を守備しますが、曹操軍に撃破されてしまいます。呂布滅亡後、臧覇の説得を受けて曹操に降伏し、その後は作中から姿を消します。

参考文献

『三国志』魏書18臧覇伝
呉書2呉主伝
呉書15全琮伝
『三国演義』

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