山上船主

山上船主について

山上船主（やまのうえ の ふなぬし）は、奈良時代から平安時代初期にかけて活動した日本の貴族であり、特に陰陽師として名を馳せた人物です。本稿では、彼の経歴や官歴、流罪について詳述します。

経歴の概要

船主は、神護景雲元年（767年）に発生した瑞雲の出現により、天平神護から神護景雲への改元が行われた際に、陰陽寮の一員として昇進し、陰陽允に任じられました。この時期、彼の官位は従五位下に叙せられています。さらに、神護景雲2年（768年）には彼を含む20人の一族が臣姓から朝臣姓に変更しました。

彼は称徳天皇の治世から光仁天皇の時代にかけて、陰陽寮でさまざまな役割を果たしました。神護景雲3年（769年）には陰陽助に昇進し、宝亀年間には陰陽頭に任ぜられ、宝亀7年（776年）には従五位上になるとともに、天文博士も兼任しました。

しかし、彼の運命は天応元年（781年）に桓武天皇が即位した時、再び変転します。この年、船主は正五位下に昇進したものの、翌年には氷上川継の反乱に関与したとして隠岐介へ左遷されました。さらには、桓武天皇を呪詛したとの理由で、流罪に処されました。

流罪の経緯として、船主は氷上川継の乱の関係者であり、通常なら死罪が求められるところ、罪を軽減されて流罪となったのです。彼は、流罪の地である隠岐国にて長い間過ごすことになります。

幾度の赦免

乱に関与した多くの者が桓武朝の前半に赦免される中、船主は氷上川継の首謀者として延暦24年（805年）にようやく罪を許され、都へ戻ることができました。このように、彼の人生は波乱に満ちたものでした。

系譜に関する説

彼のルーツについては、いくつかの仮説があります。その一つは、筑前守であった山上憶良の子という説です。また、別の説では、天平宝字7年（763年）に天皇に献上した大春日船主と同一人物である可能性も指摘されています。この謎に関しては、まだ詳細が明らかにされていない部分が多いです。

官歴の詳細

「六国史」に基づく船主の官歴は以下の通りです。

• - 時期不詳：陰陽允、正六位上
• - 神護景雲元年（767年）8月16日：従五位下
• - 神護景雲2年（768年）6月20日：臣姓から朝臣姓へ改姓
• - 時期不詳：兼筑後掾
• - 神護景雲3年（769年）8月19日：陰陽助
• - 宝亀3年（772年）4月20日：兼甲斐掾
• - 時期不詳：陰陽頭
• - 宝亀7年（776年）正月7日：従五位上、3月6日：兼天文博士
• - 宝亀11年（780年）3月17日：兼甲斐守
• - 天応元年（781年）4月15日：正五位下
• - 天応2年（782年）閏正月18日：隠岐介、3月26日：隠岐国へ流罪
• - 延暦24年（805年）3月20日：入京

このように、山上船主は日本の古代史において重要な役割を果たした人物であり、彼の波乱の生涯や官歴は多くの研究者によって注目されています。

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