山口市交通局

山口市交通局について

山口市交通局は、1943年から1999年まで山口県山口市を中心にバス事業を展開していた地方公営企業です。設立当初は山口市運輸水道局として発足し、市内のバス路線を統合して運行を開始しました。

路線網の拡大と縮小

最盛期には、旧山口市だけでなく、近隣の旧小郡町、旧秋穂町、宇部市、旧阿知須町、厚狭町、美東町、秋芳町など広範囲に路線網を拡大しました。山口宇部空港へのリムジンバスも運行するなど、地域の重要な交通手段としての役割を果たしていました。しかし、1980年代に入ると、行政改革の一環として路線網は徐々に縮小を余儀なくされました。

事業廃止と防長交通への譲渡

1999年、山口市交通局は公営企業としての存続を断念し、全路線と施設を防長交通に譲渡して解散しました。これにより、長年にわたり市民に親しまれてきた山口市営バスの歴史に幕を閉じました。

現在の運行状況

現在、旧山口市交通局の車庫であった宮野車庫は防長交通山口営業所となり、防長交通が旧山口市交通局の路線をほぼそのまま引き継いで運行しています。これにより、市民は以前と変わらない利便性を享受しています。

沿革

1942年（昭和17年）8月5日 - 山口市会で「自動車運輸事業に関する件」が可決。
1943年（昭和18年）3月 - 山口市運輸水道局が発足。山口定期自動車、安田貞夫（個人事業）、防石鉄道自動車運輸部のバス路線を譲受し、山口市営バスの運行を開始。
1950年（昭和25年）2月 - 宇部市営バスとの相互乗り入れを開始。長距離貸切バス事業を開始（山口県下初）。
1952年（昭和27年）6月 - 地方公営企業法施行に伴い、地方公営企業に移管。山口市公営企業局が発足。
1959年（昭和34年）10月 - 公営企業局を改組（水道事業を分離）。山口市交通局が発足。
1995年（平成7年）3月 - 新局舎が竣工。本局が葵町から宮野下へ移転。
1998年（平成10年）3月 - 事業廃止を申請。
1999年（平成11年）3月 - 事業廃止が許可され、事業が廃止。

車両

山口市交通局のバス車両は、白地に赤のストライプが入ったデザインが特徴的でした。このデザインは防長交通に移管された後も、しばらくの間はそのまま使用されていました。しかし、ノンステップバスの導入以降は、防長交通の他路線と同じく、白地に黄緑色の斜めストライプのデザインに変更されました。

路線バスは三菱自動車製のものが大半で、一時的に西日本車体工業製のボディを搭載した車両も多く導入されていました。その他には日野自動車製やいすゞ自動車製の車両も存在しました。

貸切バスも三菱自動車製のものが多く、その他に日野自動車製の車両がありました。

車両の移管

譲渡された車両は基本的にそのまま防長交通山口営業所に所属しましたが、一部車両は一時的に他の営業所に移籍し、また、貸切用車両は高速・長距離路線用に改造されました。

余談

山口市交通局の開設には、当時運輸通信省自動車局長であった佐藤栄作（後の内閣総理大臣）の尽力が大きかったと言われています。また、かつて本局があった葵町の跡地は、現在自動車教習所になっています。

参考文献

* 山口市交通局56年のあゆみ（山口市交通局編、山口市立図書館所蔵）

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