山口英夫 (棋士)

山口英夫 九段

山口英夫は、1941年9月8日、広島県呉市に生まれた将棋棋士です。1957年、16歳で5級として奨励会に入り、原田泰夫九段の門下生となりました。1964年4月に四段昇段を果たしプロ棋士となり、その後、1985年に七段に昇段しました。2002年3月末に引退しましたが、2006年には八段に昇段しています。2018年5月20日、76歳で逝去しました。

棋歴と棋風

山口英夫は、奨励会時代から頭角を現し、1970年度の第1回新人王戦で優勝するなど活躍しました。同年代には大内延介、高島弘光、西村一義といった著名な棋士がおり、彼らと共に「花の昭和16年組」と呼ばれ、若手時代から注目を集めました。

彼の最大の特徴は、独自の戦法である「英ちゃん流中飛車」です。これは、中飛車戦法の一種ですが、5筋の歩を突かないという点に特徴があります。5筋の歩を突かないことで、相手の急所を突く攻撃を可能にし、柔軟な対応を可能にしていました。この戦法は、当時流行していた玉頭位取りへの有効な対策として考案されました。

山口自身は、5筋の歩を保留することで、他の場所に手をかけ、逆襲できる機会が増えると説明しています。例えば、相手の△3五歩に対しては▲4七銀から3八飛と回って3五の歩を目標にしたり、△6四歩からの早仕掛けには▲5六銀や▲4七銀を用意するなど、局面に応じて柔軟に対応できるのが「英ちゃん流中飛車」の特徴です。

「英ちゃん流中飛車」は、彼の愛称である「英ちゃん」から名付けられ、弟子の近藤正和が考案した「ゴキゲン中飛車」と並んで、原田門下の中飛車戦法の発展に大きく貢献しました。

人物像

山口英夫は「英ちゃん」の愛称で親しまれ、温厚な人柄で知られていました。少年時代には地元の棋士、松浦卓造に才能を見出され、プロ入りを志した際、松浦の紹介で原田泰夫九段の門下生となりました。

また、アマチュアの弟子には作家の山口瞳がいたことでも知られています。

昇段履歴

1957年：5級
1960年：初段
1964年4月1日：四段
1967年4月1日：五段
1973年11月3日：六段
1986年2月12日：七段
2002年3月31日：引退
2006年4月1日：八段

主な成績

* 新人王戦優勝（1970年度）

山口英夫は、独特の棋風と人柄で多くの将棋ファンに愛された棋士でした。彼の功績は、将棋界の歴史に刻み込まれています。

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