山口駅 (山口県)

山口駅：山口県の玄関口、歴史と現在が交差する地方交通の要衝

山口駅は、山口県山口市惣太夫町に位置する、西日本旅客鉄道（JR西日本）山口線の駅です。山口県庁と山口市役所の最寄駅という立地から、山口県および山口市の代表駅として位置づけられていますが、乗降客数においては、山陽新幹線、山陽本線、宇部線と接続する新山口駅にその役割を譲っています。地方交通線上に位置する県庁所在地の代表駅としては、全国でも稀有な存在と言えるでしょう。

歴史と変遷：軽便鉄道から現代へ

山口駅の起源は、山口線開通以前の1908年から1913年にかけて遡ります。当時、大日本軌道山口支社によって小郡駅と山口駅間を結ぶ軽便鉄道が運行されていました。正式な山口線の駅として開設されたのは1913年2月20日で、当初は山口県吉敷郡山口町上宇野令に位置していました。なお、当時佐賀県にも「山口駅」が存在したため、重複を避けるべく、佐賀県の駅は「肥前山口駅」（現・江北駅）と改称されています。

その後、1917年には山口線当駅～篠目駅間が延伸され、途中駅となりました。1968年の住居表示実施に伴い所在地が山口市惣太夫町に変更、1974年にはみどりの窓口が開設され、1978年には現在の駅舎が完成しました。1984年には貨物取扱、1986年には荷物扱いが廃止されました。国鉄分割民営化後も駅としての機能は維持され、2017年には駅構内にセブン-イレブンが開店するなど、変化を遂げながら現在に至ります。近年では、みどりの窓口の閉鎖（2021年）、みどりの券売機プラスの導入（2021年）、駅長廃止（2022年）、ICOCAサービスの導入（2023年）、セブン-イレブンの閉店（2023年）と、駅を取り巻く環境も大きく変化しています。改札外のトイレは2024年に山口市に無償譲渡され、改修工事が行われました。

駅構造と設備：単式・島式ホームの地上駅

山口駅は、単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線の、合計2面3線の地上駅です。列車の交換や折り返し運転が可能となっており、新山口駅の管理下にあります。みどりの券売機プラスが設置され、益田方ホームにはエレベーター付きの跨線橋が設置されています。かつては駅構内にコンビニエンスストアがありましたが、閉店後、一時撤去されたコインロッカーは、2024年3月に再設置されました。

利用状況と駅弁：地域における役割

山口駅の1日平均乗車人員は、山口県内では宇部駅に次いで第13位と、山口線の中間駅としては最も多い数値を誇ります。しかしながら、山口市内の他の駅と比較すると、防府駅、下松駅、光駅、柳井駅、小月駅よりも少ないのが現状です。2004年には、20年ぶりに駅弁の販売が再開されました。「薩長同盟弁当」という、地元食材を使った駅弁は土日祝日のみ限定販売で、NHK大河ドラマ『新選組！』との関連性も持っています。

駅周辺：地理的制約と発展

山口駅の出入口は北側にのみ設置されています。これは、駅南側を椹野川が流れ、地形的制約により商業施設や住宅の立地が困難なためです。駅周辺は、山口県庁や山口市役所を始め、山口県立美術館、山口県立山口博物館、山口県立山口図書館・山口県文書館、山口市民会館、山口情報芸術センター、山口地方裁判所、瑠璃光寺（香山公園）、洞春寺、のむら美術館、亀山公園、山口サビエル記念聖堂など、多くの公共施設や観光地があります。また、山口中央郵便局、ゆうちょ銀行山口店、NHK山口放送局、KRY山口放送山口支社、TYSテレビ山口本社、YAB山口朝日放送本社、FM山口本社、中国JRバス山口支店、サンデン観光バス山口営業所などの主要施設も近接しています。

アクセス：バス路線と周辺環境

山口駅には中国JRバスの乗車券発売窓口があり、JRバスの乗車券・定期券の他、防長交通の定期券、共通バスカードも取り扱っています。防長交通の高速バスは駅前に停車せず、中心市街地近くのバス停に停車します。山口市コミュニティバスも利用可能です。

まとめ：変化と未来

山口駅は、歴史と現代が交差する、山口県の重要な交通拠点です。近年の変化は、地方の鉄道駅が抱える課題を示唆していますが、同時に、地域住民にとってなくてはならない存在であることを示しています。今後も、山口市の発展とともに、その役割を担い続けることが期待されます。

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