山崎隆一郎

山崎隆一郎氏：国際社会を舞台に活躍した日本の外交官

山崎隆一郎氏（1944年生まれ）は、日本の外交官として長年にわたり国際社会で活躍しました。国連大使、外務報道官、在フィリピン日本国大使館特命全権大使、アジア生産性機構事務総長など、数々の要職を歴任し、日本の外交に大きく貢献した人物です。

多彩な経験と高い語学力

山崎氏は、小学校3年から中学2年までをロンドンで過ごした帰国子女です。父親の東京銀行ロンドン支店長赴任に伴う転居でした。この経験が、氏の国際的な視野と語学力の基礎を築いたと言えるでしょう。外務省入省後は、福田赳夫、大平正芳、鈴木善幸の各総理大臣の英語通訳を務めるなど、若手時代からその能力を発揮しました。高い英語力は、国際舞台での活躍を支える重要な要素となりました。

外務報道官としての役割

2000年に外務報道官に就任した山崎氏は、日本の外交政策に関する情報発信や国際社会とのコミュニケーションにおいて重要な役割を果たしました。特に、歴史問題に関する説明においては、日本の過去の行為に対する謝罪と反省の表明を繰り返し強調しました。1995年の村山談話や1998年の小渕首相と江沢民主席との会談での村山談話再確認などを例に挙げ、誤解を解き、国際社会との良好な関係構築に努めました。

フィリピンでの貢献

2004年から2007年にかけて在フィリピン特命全権大使を務めた山崎氏は、第二次世界大戦後60周年にあたる2005年、フィリピン各地で行われた式典に積極的に参加し、過去の行為について心からの謝罪を表明しました。この活動は、日本国内ではほとんど報道されませんでしたが、フィリピンとの関係強化に大きく貢献しました。

さらに、フィリピンの中間選挙の公正さを確保するため、外国人監視団の一員として選挙の監視にも携わりました。また、ミンダナオ島を訪れ、モロ・イスラム解放戦線のムラド議長と会談し、日本の支援事業の安全確保について協議しました。この活動は、紛争地域の平和構築に向けた日本の貢献を示すものです。

退官後も続く活躍

2009年に外務省を退官した後も、山崎氏は立命館アジア太平洋大学客員教授、奈良県特別顧問、アジア生産性機構事務総長などを歴任し、国際社会への貢献を続けました。トヨタ財団理事、国際大学国際関係学研究科客員教授なども務めています。2019年には瑞宝中綬章を受章しました。

スポーツマンとしての側面

山崎氏は、ボクシングや陸上競技の経験を持ち、大学時代には100メートル走で11秒3を記録するなど、スポーツマンとしての才能も持ち合わせていました。イギリス公使時代には、ロンドンマラソンを2度完走するなど、体力と精神力の強さを示しています。

豊富な経歴と多様な業績

これらの経験と実績から、山崎隆一郎氏は日本の外交史に大きな足跡を残した人物と言えるでしょう。その高い専門性、国際感覚、そして人道的精神は、多くの関係者に深い印象を与えました。彼の功績は、日本の外交のみならず、国際社会全体の平和と発展に貢献したと言えるでしょう。

主要な経歴

1944年 東京都渋谷区生まれ
1963年 暁星高等学校卒業
1967年 一橋大学経済学部卒業、外務省入省
1999年 国際連合日本政府代表部特命全権大使
2000年 外務省大臣官房外務報道官
2004年 在フィリピン特命全権大使
2009年 立命館アジア太平洋大学客員教授
2010年 アジア生産性機構事務総長

同期

外務省入省同期には、上田秀明、竹内行夫、高野紀元、阿南惟茂、浅見真、阿部知之、渡辺俊夫、阿部信泰、西村六善、渡辺彬、天江喜七郎、黒川祐次など、多くの著名な外交官がいます。

著作

「Key Person 山崎隆一郎 外務省 特命全権大使 国際貿易・経済担当--貿易交渉は一つの「生き物」」（川島睦保と共著）週刊東洋経済、他多数。

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