山末神社

山末神社（やまずえじんじゃ）

山末神社は、伊勢神宮外宮の摂社として、三重県伊勢市豊川町に鎮座しています。この神社は外宮の境内の南東端に位置し、訪れるには一度境外に出る必要があります。また、南側には田上大水神社や田上大水御前神社が存在します。山末神社の主祭神は大山津姫命で、外宮神田の山の神及び泉の神とされています。かつては広大な「豊宮崎の御田」と呼ばれる田んぼが広がっていましたが、現在は宅地化が進んでいます。

大山津姫命は、農業の豊饒をもたらす神として信仰されています。外宮神田の歴史を知るには、多くの文献が参考になります。特に度会延経による『伊勢国神名帳考證』では、祭神を「大山咋神」または「山末の大主神」としています。大山咋神は『古事記』に登場し、神聖な山を象徴していると考えられます。

社殿は神明造りで、屋根は板葺きの形式をしています。参道と直接つながることはありませんが、高さ約2.5メートルの神明鳥居が社殿前に設置されています。この鳥居は、石垣に向かって建てられている点が特徴的で、賽銭箱は設けられていません。特異な位置にあるこの神社は、長い歴史を感じさせてくれます。

歴史

山末神社の名称は、高倉山の末に位置することに由来しています。ここでの「末」という表現は、山の頂上を意味し、鎮座地の地形を反映しています。『延喜伊勢太神宮式』や『止由気宮儀式帳』に記載されていることから、この神社は927年以前に創立されたことが分かります。また、中世末期には祭祀が途絶える期間もありましたが、近世には大宮司の河邊精長の尽力によって、1663年に再興されました。

再興の際には、古い文献を参考にして、慎重に社地を確認し、祭祀を復活させました。その後の1640年代には、社殿の造り替えも行われました。このように、現代に至るまでの再興や改築は、地域の信仰心と結びついています。1921年や1957年には新たな造り替えが実施され、1983年には大規模な修繕も行われました。

祭祀

山末神社では、さまざまな祭典が行われています。祈年祭、月次祭、神嘗祭、新嘗祭は、特定の日に権禰宜や宮掌による祭祀が執り行われます。また、歳旦祭や元始祭、建国記念祭などは遥祀形式で行われるため、それぞれの祭りを経て、地域の人々の心に寄り添いながら、神様への感謝を捧げています。

アクセス

アクセスは比較的便利です。JR参宮線・近鉄山田線の伊勢市駅南口から外宮参道を徒歩約5分。三重交通のバス「伊勢市駅前」または「外宮前」からも徒歩で到達できます。自動車の場合は、伊勢自動車道の伊勢西ICから県道を北上して約5分の距離です。付近には大規模な駐車場も完備されています。

まとめ

山末神社は、伊勢神宮外宮の重要な摂社として、長い歴史を持ち、地域の人々に親しまれています。祭神である大山津姫命に祈りを捧げることは、農業や豊饒を願う信仰心の象徴です。訪れる際には、その歴史や文化に思いを馳せながら神社の雰囲気を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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