山本氏 (山城国)

山本氏の系譜と歴史

山本氏は、室町時代から戦国時代にかけて存在した有力な武家で、その影響力は江戸時代にも及ぶことになります。一般的には、近江国浅井郡の山本郷から出身の一族とされ、治承・寿永の乱で藤原景家を討ち取った山本義経の子孫とされています。しかし、『地下家伝』の記述によれば、山本氏の起源は摂津国河辺郡の山本荘の荘司であり、坂上田村麻呂の子孫である坂上頼次の末裔とも記されています。

近世の戦績と変遷

山本氏の歴史を振り返ると、正中の変において山本九郎時綱が六波羅探題に従い、土岐頼員の子を討ち取った記録が残っています。その後、室町幕府の設立に伴い、足利氏の被官として名を馳せることになります。特に、明徳の乱では時綱の孫、山本茂尚が幕府方の武将として参戦し、戦死するという悲劇を迎えました。

応仁元年（1467年）に発生した応仁の乱では、山本氏のひ孫、山本佐渡守尚親が東軍側として奮闘し、多くの所領を得て小倉山城を築城しました。また、文明16年（1484年）には、反乱者である香西元長を撃退するなど、政権に対する忠誠を示しました。

その後の動向として、三好氏から養子を迎えた山本筑後守親資は、長享・延徳の乱においても幕府方として活躍しています。また、永正7年（1510年）には幕府より不正を咎められる事件もあり、山本兵庫助が実相院の領地を横領していたことが明らかになっています。

桂川合戦とその後

大永7年（1527年）の桂川合戦においては、山本佐渡守尚貞が連合軍として勝利を収めました。享禄2年（1529年）の書状には山本与三郎の名が見えますが、系図にはその名が載っていないことが興味深い点です。さらに、天文15年（1546年）、足利義晴が派遣した細川国慶と対峙した際、山本修理亮実尚が戦闘に参加して全燃するなど、山本氏は波乱に満ちた歴史を持っています。

天文20年（1552年）には三好長慶が侵攻してきたため、山本尚利が応戦するものの敗北を喫し、その後三好側へと鞍替えをしました。しかしながら、永禄7年（1564年）に三好長慶が死去すると、再び三人衆に従うようになり、さらにその後は織田信長にも従いました。特に、永禄12年（1569年）には本圀寺の変が発生し、山本氏の実尚が激しい戦闘に関与します。

江戸時代までの影響

山本尚利の子、山本石見守家正は、今出川家の家司としてその地位を幕末まで保持しました。このように、山本氏は武力だけでなく、政治面でもその影響力を維持し続けてきたことが伺えます。平姓を賜った一族としての誇りを持ちながら、さまざまな時代の波に翻弄されながらも生き抜いてきた歴史は、今日まで語り継がれています。

参考文献

• - 国文学研究資料館「地下家伝・芳賀人名辞典データベース」
• - 岩倉の歴史と文化を学ぶ会『洛北岩倉研究』No.1〜5（岩倉の歴史と文化を学ぶ会、1997年）

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