山根明季子

山根明季子（やまね あきこ）

現代音楽の作曲家、山根明季子（1982年10月1日 - ）。大阪府出身。

経歴

京都市立芸術大学を卒業、同大学院を修了。在学中には音楽学部賞および大学院賞、京都音楽協会賞を受賞。ドイツのブレーメン芸術大学へ派遣留学し、ヨンギー・パクパーン（朴泳姫）に師事。
作曲を澤田博、松本日之春、前田守一、中村典子、川島素晴に師事。

数々の受賞歴を持ち、武生作曲賞2005（入選）、第22回日本[[現代音楽協会]]作曲新人賞（富樫賞）、第75回日本音楽コンクール（第1位および増沢賞）、第17回芥川作曲賞（ファイナリスト）、そして第20回芥川作曲賞を受賞。

2007年から2013年まで、川島素晴と共に現代音楽コンサートeX.（エクスドット）を主宰。2022年には、作曲家の梅本佑利、ヴァイオリニストの成田達輝と共に、アーティスト・コレクティブ「mumyo」（合同会社無名）を設立し、新たな音楽の創造と発信に取り組んでいます。

作風

山根の作風は、単一の音価が連続する独特なイディオムで知られています。初期の作品「ヒトガタ」や「水玉コレクションNo.1」において、その特徴的なスタイルが顕著に表れています。

その後、「音を視る」というコンセプトを掲げ、全終止を頻繁に用いるようになります。これは、音楽の展開よりも「丸い」音色の羅列を重視する傾向を示しており、サルヴァトーレ・シャッリーノがcresc.やdim.を多用した手法と同様に、全終止で区切られた音色の全体に強弱を配置することで、独自の音楽的形状を表現しています。

また、日本のゲームセンターやパチンコホールの音響空間からインスピレーションを得た作品や、チップチューン的な音素材の使用も彼女の作品の特徴の一つです。

川島素晴は、山根の才能を高く評価しつつも、「水玉コレクションNo.01」が日本音楽コンクールで第1位を受賞した頃には、自身の音楽的な影響下にあったと振り返っています。しかし、デュオ「ROSCO」での二人展を通じて、それぞれの音楽性を確立し、確かな手応えを感じたと言います。

山根自身は、自己と他者の世界観の違いに強いこだわりを持ち、それが孤独感に繋がっていると語っていますが、川島は、そのような感覚に苛まれながらも、音を形あるものとして創造し続ける彼女の「苦しい創作」を評価しています。また、山根の音楽は「視覚的構成」を基本としているため、音楽的な分析は必ずしも必要ではなく、現代美術やアートに近い表現であると評しています。

「音を視る」というテーゼは、山根独自の感性に基づいているため、論理的な理解を得にくい側面もあります。しかし、川島は、シェーンベルクが十二音技法を導入した背景には、感覚だけに頼っていた無調音楽に規律を与えようとした意図があったものの、それは発展の一方で「逃げ」でもあったとし、感覚のみに従う山根の姿勢は、時代を超越したものであると述べています。

主要作品

Re-Collect（2005年、第5回武生作曲賞入選作）
Transcend（2005年、第22回日本[[現代音楽協会]]作曲新人賞富樫賞受賞作）
水玉コレクション No.01（2006年、第75回日本音楽コンクール作曲部門第1位および増沢賞。2007年、第17回芥川作曲賞ノミネート作）
水玉コレクション No.01 室内管弦楽版（2007年）
ヒトガタ（2008年、読売日本交響楽団委嘱作品）
水玉コレクション No.04（2009年、いずみシンフォニエッタ大阪委嘱作品。2010年、第20回芥川作曲賞受賞作）
水玉コレクション No.06（2010年、NHK交響楽団委嘱作品）
ハラキリ乙女（2012年、サントリー芸術財団委嘱作品）
イルミネイテッドベイビー（2015年、浜松国際ピアノコンクール第二次予選課題曲）

参考文献

「ベルク年報 第13号 (2008)」（日本アルバン・ベルク協会、2008年）
創作の現場から〜若手の作曲家の活動 第2回 音を視る（山根明季子）
「洪水 第7号」（洪水企画、2011年） ISBN 978-4902616323
（散文）往復書簡「音を視る、音で動く」川島素晴＋山根明季子
卒業生インタビュー 作曲家 山根明季子さん 京都市立芸術大学公式ウェブサイト

外部リンク

山根明季子オフィシャルサイト
eX.（エクスドット）
Akiko Yamane 山根明季子 (@ailuybkub) - X（旧Twitter）
山根 明季子 (akiko.yamane) - Facebook

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