山梨県立文学館

山梨県立文学館について

山梨県立文学館は、山梨県甲府市貢川の「芸術の森公園」内に位置する文学館です。この公園内には山梨県立美術館も併設されており、文化的な雰囲気が漂っています。建物は地上2階、地下1階で、延床面積は6,168平方メートルあります。

設立の背景

山梨県は、かつて博物館などの展示施設が少なく「文化不毛の地」と評されていました。しかし、戦後に田辺国男知事が文化行政に尽力したことで、県立美術館や考古博物館などの文化施設が整備されました。文学館設立の機運は、俳人・飯田蛇笏の子息である飯田龍太氏や、近世俳諧史研究者からの文学資料散逸への危機感から高まりました。さらに、山梨県出身の書店経営者・岩森亀一氏が「芥川龍之介資料展」を開催し、資料の寄贈を申し出たことも、設立を後押ししました。

1983年、山梨県は文学館構想推進費を議決し、専門家による基本構想策定懇話会が開催されました。そこで、県出身やゆかりの文学者に関する資料の収集・保管・公開、社会教育としての活用が計画されました。1987年に建設が始まり、1989年11月3日に開館しました。

展示と活動

文学館では、近世から近現代までの幅広い文学資料を収集・展示しています。漢籍国書から、俳書コレクション、現代文学コレクション、山崎方代旧蔵資料、山本周五郎コレクション、個人全集、文学雑誌、同人誌など多岐にわたります。また、複製資料の作成も行っています。

常設展示は、芥川龍之介と飯田蛇笏の二大展示が中心です。「山梨ゆかりの作家と作品」では、樋口一葉、中村星湖、深沢七郎、太宰治など、県出身やゆかりの文学者に関する資料が展示されています。「甲斐の歌」「甲州の近世文学」では、古代の和歌や松尾芭蕉らの甲州俳諧に関する資料を、「山梨の近代文学」では、近代以降の詩、短歌、俳句、川柳、漢詩、童謡、文学雑誌などを展示しています。企画展は年1〜2回程度開催され、新収蔵資料や特定テーマに関する特別展示も行われます。

アクセス

公共交通機関を利用する場合、甲府駅や竜王駅、韮崎駅から山梨交通バスが利用できます。いずれのバスも「山梨県立美術館」バス停で下車します。

車の場合は、中央自動車道甲府昭和インターチェンジから約15分です。料金所を出てから、昇仙峡・湯村方面へ進み、案内に従って進むと到着します。

まとめ

山梨県立文学館は、山梨県出身やゆかりの文学者たちの業績を後世に伝えるとともに、県民の生涯学習を支援する重要な文化施設です。豊富な文学資料の展示や教育普及活動を通じて、文学への理解を深めることができます。

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