岐阜東バイパス

岐阜東バイパスは、岐阜県羽島郡岐南町八剣を起点とし、関市山田に至る延長約13.4キロメートル（計画）の国道156号のバイパス道路です。地域間の連携強化と、増え続ける自動車交通量の円滑な処理を目的として計画され、現在までにその大部分が開通し、供用されています。

建設の背景

このバイパスの建設が必要とされた背景には、昭和40年代以降の交通状況の変化があります。当時、岐阜市と中濃地区（関市や美濃市）を結ぶ主要道路であった既存の国道156号は、経済成長に伴う自動車の急激な増加によって、その道路規格が交通量に対応しきれなくなっていました。さらに、既存の国道にはかつて名鉄美濃町線が並行して走っており、この鉄道線の存在が道路の拡幅を非常に困難にしていました。こうした状況を改善し、地域の交通を円滑化するために、建設省（現在の国土交通省）によって新たな道路、すなわち岐阜東バイパスの整備が計画・推進されることとなりました。

区間と構造

岐阜東バイパスは、建設の進捗状況や特性に応じて三つの工区に分けられています。

1工区

起点である岐南町八剣から岐阜市東興町までの約3.1キロメートルが1工区です。この区間は都市部を通るため、第4種第1級という比較的高い道路規格で設計されています。岐南町八剣から岐阜市入舟町にかけては片側3車線の計6車線で整備されており、特に国道22号（名岐バイパス）や国道21号（岐大バイパス）に接続する岐南インター周辺では立体交差構造が採用されています。これにより、国道21号を直進する車両は信号のない高架をスムーズに走行できますが、国道22号や国道156号からバイパスへ出入りする場合は地上の信号交差点を利用する形態となっています。また、この区間ではJR高山本線を高架橋で跨ぎ越え、名鉄各務原線細畑駅付近では名鉄線の高架下を通過するなど、既存の交通網との交差部も適切に処理されています。続く岐阜市入舟町から東興町までの区間は片側2車線の計4車線となり、国道248号や岐阜県道92号（旧国道156号）をそれぞれ高架橋で越えていきます。この高架区間は、次に控える岩戸トンネルへと円滑に接続するために設けられています。この工区の設計速度は60km/hです。

2工区

2工区は、岐阜市東興町から同市日野南までの約3.6キロメートルにわたる区間です。設計規格は第3種第1級で、一部で国道248号と経路を共有しています。岐阜市東興町から岐阜環状線との交点である日野南までの区間には、岩戸高架橋と岩戸トンネルが含まれており、こちらは片側2車線の計4車線で供用されています。そこから日野南5丁目東交差点までの区間は、現在のところ暫定的な片側1車線（計2車線）で供用されており、地上部を走行します。かつてこの地点からカーブして従来の国道156号線（日野南6交差点）に接続していましたが、3工区の開通に伴い、日野南5丁目交差点から日野南5丁目東交差点にかけての区間（実質的には3工区の起点部分）が片側2車線に拡幅され、後続の3工区へスムーズに接続するように改良されました。この工区の設計速度は80km/hに設定されています。

3工区

最終区間である3工区は、岐阜市日野南から関市山田までの約6.7キロメートル（予定）の区間です。この区間も第3種第1級の設計規格で整備が進められています。現在開通しているのは、岐阜市日野南から同市岩田西までの約2.3キロメートルです。この区間には全長1001メートルにおよぶ舟伏山トンネルが含まれており、全体としては暫定的な片側1車線での供用となっています。ただし、起点に近い日野南5丁目東交差点から日野東4丁目交差点までの短い区間は、3工区の開通当初から片側2車線で整備されています。岐阜市岩田西から終点となる関市山田までの残りの区間は、現在も建設が進められており、全線開通が待たれる状況です。この工区の設計速度も80km/hです。

沿革

岐阜東バイパスの整備は長期にわたり段階的に進められてきました。1971年にまず1工区と2工区が事業化され、1974年に1工区の建設が始まり、1986年には2工区も着工しました。1988年6月には1工区の全線が供用を開始（一部4車線を含む）し、1990年11月には2工区も暫定2車線で開通しました。1994年には最後の3工区が事業化され、2008年には1工区の片側3車線化や、2工区のうち岩戸高架橋・岩戸トンネルを含む区間の片側2車線化といった拡幅工事が完了しました。同じ2008年には3工区の一部区間（岐阜市日野南 - 岩田西）も着工し、2013年10月19日に暫定2車線で供用が開始されました。そして2020年11月15日には、バイパスの最終到達点となる3工区の残り区間（岐阜市岩田西 - 関市山田）の建設が始まるなど、全線開通に向けた整備が現在も続けられています。

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