岡田家武

岡田家武の生涯と業績

岡田家武（おかだ いえたけ、1904年 - 1970年）は、中国名を馬謝民、後に馬植夫として知られる日本の地球化学者です。主に中国で活動し、地球化学の発展に寄与しました。彼は華西大学（四川大学の前身の一つ）の教授も務め、近代化学の深い知識を地域に広めました。

経歴の初期

岡田は東京府麹町区に生まれ、逓信省鉄道局の官吏である父・岡田甲子之助と母・與志の間の長男として育ちました。彼には物理学者となる弟の岡小天を含む兄弟がいます。幼少期から鉱物に興味を持ち、各地を旅して鉱物採集を行っていました。また、東京帝国大学理学部教授・神保小虎の研究室にも出入りしていました。1920年には第一高等学校、1923年には東京帝国大学理学部化学科に進学し、柴田雄次の指導の下で学びました。

地球化学への道

1928年、岡田は内モンゴル自治区のダブスノール湖で希少な塩類ゲーリュサイトを発見しました。この業績は後に『地質學雜誌』や『上海自然科学研究所彙報』に発表され、彼は1936年に東京帝国大学から理学博士の学位を取得しました。1930年には日本で初となる地球化学の概説書『地球化学』を著し、岩波の講座の一部として刊行しました。彼のこの貢献は、後の地球化学の発展に重要な役割を果たしました。

中国での活動

岡田は1931年に上海自然科学研究所の研究員となり、第二次世界大戦後も長く中国に住み続けました。彼は中国の文化に深く関与し、「マテオ・リッチのように中国人のために学問をする」ことを志し、中国に完全に溶け込むことを決意しました。1934年には、大槻俊斎の曾孫と結婚し、上海で中国人街に暮らし始めました。

政治的活動と波乱

岡田は日中戦争期においては、特定のグループとの接触があり、戦争終焉のための画策も行ったとされます。中華人民共和国成立後は、中国名を馬植夫に改め、四川省成都市に移住し、華西大学教授として教鞭をとりました。この時期には地球化学から少し距離を置き、民間薬の研究に取り組みました。

文化大革命とその後

文化大革命の過程で、彼は1966年に四川省公安部に逮捕され、投獄されました。彼は1970年に獄死しました。妻や長男も後に逮捕されましたが、彼らは1978年と1980年に解放され、日本に帰国して岡田家の消息が明らかになりました。岡田家武の人生は、学問追求と時代の波乱に彩られたものでした。

もう一度検索