岡田弥一郎

岡田弥一郎（おかだ やいちろう）

概要

岡田弥一郎は、1892年6月24日に生まれ、1976年4月28日に没した日本の動物学者です。石川県加賀市出身で、水産講習所（現在の東京海洋大学）を卒業後、東京帝国大学（現在の東京大学）で助手として研究活動を始めました。1929年には、東京大学から理学博士号を授与されました。学位論文は「六枚海綿ファレア・ソラシーの發生に就て」です。

教育者としては、東京高等師範学校教授、三重水産専門学校校長、三重県立大学（現在の三重大学）教授、水産学部長を歴任しました。定年退職後は東海大学教授として教鞭を執り、後進の育成に尽力しました。

また、岡田は日本[[魚類学会]]の初代会長を務め、日本の動物学、特に魚類学の発展に大きく貢献しました。

研究分野

岡田弥一郎は、動物学者として、魚類、爬虫類、両生類などの分類学を専門としていました。特に、日本産生物の分類に関する研究を精力的に行い、多くの新種や分類に関する知見を発表しました。

主な業績

岡田弥一郎の主な業績は、以下の通りです。

分類学における貢献: 魚類、爬虫類、両生類の分類に関する多くの研究を行い、日本の動物相の解明に貢献しました。
教育活動: 大学教授として、多くの学生を育成し、日本の動物学の発展に貢献しました。
学会活動: 日本[[魚類学会]]の初代会長を務め、日本の動物学界の発展に貢献しました。
著書・論文: 多数の著書や論文を発表し、一般読者や研究者に対して動物学の知識を広めました。

著書

岡田弥一郎は、多数の著書を執筆しました。以下に主な著書を挙げます。

『恐ろしい寄生虫の話』盛林堂書店、1926年
『日本産蛙総説』岩波書店、1930年
『水産動物学』厚生閣、1932年
『博物學提要 小學教材を主としたる』三省堂、1935年
『動物の世界 最新科学の驚異』太陽閣、1937年
『害虫と家庭衛生』河合商店、1942年
『火の島へ ダーウィンのたんけん』学習研究社、1948年
『動物の採集と飼育』星書房、1948年
『新制動物実験提要』日本出版社、1948年
『日本の魚』目黒書店、1949年
『日本の蛙』南条書店、1949年
『生物学実験法講座 第11巻 E 脊椎動物発生実験両生類』中山書店、1955年
『生物学実験法講座 第5巻 J ヒキガエル』中山書店、1956年
『蛙談義』考古堂書店、1974年

これらの著書は、動物学の専門家だけでなく、一般の読者にも広く読まれ、動物への理解を深めるのに役立ちました。

共著・翻訳

岡田弥一郎は、他の研究者との共著や翻訳も多く手がけました。以下に主なものを挙げます。

『参考中等動物図説』高桑良興共著、宝文館、1931年
『爬虫類の生態と進化』高桑良興共著、養賢堂、1932年
『蛙 発生』馬場菊太郎共著、岩波書店、1932年
『岩波動物学辞典』谷津直秀共編、岩波書店、1935年
『世界生物写真集』本田正次共編、三省堂、1936年
『日本動物分類』内田亨、江崎悌三共編、三省堂、1935-43年
『日本産魚類検索』松原喜代松共著、三省堂、1938年
『動物学用語新辞典』原又栄共著、太陽堂、1940年
『日本の淡水魚類』中村守純共著、日本出版社、1948年
『水産動物の研究 第1』日本出版協同、1950年
『学生動物図鑑』石井悌,山階芳麿共編、南条書店、1952年
『動物の解剖・組織・発生 第1-3』内田亨共編、中山書店、1960年
『カラー 海の生きもの― 魚類』益田一海洋生物研究グループ共著、山と渓谷社、1971年
『大珊瑚海の自然 大堡礁学術探検報告』チャールズ・モーリス・ヨング著、大日本出版、1943年（翻訳）
『爬虫類』アルチー・カー著、タイムライフインターナショナル、1969年（翻訳）

これらの共著や翻訳は、岡田弥一郎の幅広い知識と学識を示すとともに、動物学の分野における共同研究の重要性を示しています。

論文

岡田弥一郎は、数多くの論文を発表しました。以下に主な論文を挙げます。

「軟體動物の所謂刺細胞」『動物学雑誌』、1915年
「VI アカヲニウミウシ(Procamopherus sp.)の發光」『動物学雑誌』、1928年
「渡瀬先生と日本生物地理學會」『動物学雑誌』、1931年
「故高橋定衛君」『動物学雑誌』、1936年
「南洋の思ひ出」『動物学雑誌』、1936年
「日本産ウグヒ屬Tribolodonの分類及び分布上の考察II.：北海道に於るウグヒ屬種とその分布」『動物学雑誌』、1937年
「本邦産イルカ類の研究(II)(分類學)」『動物学雑誌』、1939年
「動物地理学」『動物学雑誌』、1954年
「日本と支那産のハンザキ(分類・生態)」『動物学雑誌』、1960年

これらの論文は、岡田弥一郎の動物学における専門的な知識と研究成果を示しています。

晩年

岡田弥一郎は、晩年も研究活動を続け、日本の動物学の発展に貢献しました。その功績は、今日の動物学研究にも大きな影響を与えています。

関連項目

クロイソカイメン
オカダ酸
オカダトカゲ

外部リンク

コトバンク

参考

* 日本人名大辞典

もう一度検索