岩井章

岩井 章の生涯と労働運動への貢献

岩井章（いわい あきら、1922年4月25日 - 1997年2月18日）は、日本の労働運動において重要な役割を果たした人物であり、元日本労働組合総評議会事務局長として知られています。彼は長野県松本市に生まれ、高等小学校を卒業後、1937年に日本国有鉄道（国鉄）に入社し、機関士として働き始めました。

労働運動への道

第二次世界大戦終結後、国鉄内での労働運動が活発化する中、1946年に国鉄労働組合（国労）に参加しました。甲府支部青年部長として活動を開始し、その後1950年には中央執行委員に就任します。1955年には、日本労働組合総評議会（総評）の事務局長に就任し、太田薫と共に「太田－岩井ライン」を形成して総評の実権を握りました。彼はこの時期に労働者の賃上げを求める「春闘方式」を策定し、労働界においての権威を確立しました。また、安保闘争や三井三池争議なども指導しました。

政治活動

岩井は政治的には日本社会党、特にその左派を支援し、社会主義協会との関係も強固でした。社会党支持を明言しつつ、共産党系の活動には警戒を払ったものの、社共共闘には積極的でした。さらに、日本社会党と対立する全日本労働総同盟（民社党）の影響力拡大に対抗し、労働運動の主導権を守りました。

国際的活動

岩井は世界労働組合連盟（WFTU）との関係を重視し、特に社会主義国の訪問に力を入れました。中華人民共和国や北朝鮮を含む国々との民間レベルでの関係改善に貢献しましたが、特に北朝鮮訪問は後に批判の対象となりました。1969年にはレーニン平和賞を受賞し、その賞金を基に国際労働運動研究協会を設立しました。

現代との関わり

事務局長を退いた後も岩井は総評内で影響力を持ち続けましたが、1987年に国鉄が分割・民営化され、労働組合の組織分裂が進む中で彼の活動基盤は次第に弱体化しました。同年に新たに設立された全日本民間労働組合協議会（全民労協）には反対し、その後も労働研究センターを設立しました。

1989年、総評の解散後、全国労働組合連絡協議会（全労協）を結成し、他の組織と異なる路線を選びました。しかし、全労協はかつての総評と比較して規模は小さく、彼の影響力は低下しました。社会党の衰退や全労協の縮小にも直面し、最終的には病を患いながらも国労闘争を支援し続けましたが、大きな成果は得られませんでした。

著作

岩井は多くの著書や論文を残しており、労働運動の戦略や歴史に関する考察を行いました。

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