岩倉道倶

岩倉道倶：華族、貴族院議員としての生涯

岩倉道倶（いわくらみちとも、1881年5月29日-1946年10月9日）は、明治から昭和初期にかけて活躍した日本の華族です。名門岩倉家の血筋を受け継ぎ、貴族院議員としての地位を確立しました。その生涯は、華族社会での活動、そして日本の近代化に貢献した企業経営者としての側面を併せ持ちます。

華族としての出自とキャリア

岩倉道倶は、明治維新において重要な役割を果たした岩倉具視の四男として誕生しました。1896年、父の功績により男爵位を叙爵され、華族としての道を歩み始めます。学習院を経て東京帝国大学文科大学を卒業。その後、1909年には欧米視察を行い、近代的な知識と国際的な視野を養いました。

政治家としての活動

1911年、貴族院議員に就任。貴族院では、時代の変遷に合わせた政策決定や議論に参加したと考えられます。貴族院議員としての活動に加え、複数の企業で要職を歴任しました。福徳生命保険や大成漁業の取締役、十五銀行の監査役を務めるなど、経済界にも大きな影響を与えています。

経済界への貢献と晩年

1932年以降は、経済政策に深く関与します。米穀対策調査会や石油業委員会、液体燃料委員会など、国家の経済政策に関わる委員を歴任しました。帝国石油、台湾拓殖、樺太開発といった企業の設立委員を務めた他、川崎造船所や千代田火災保険の取締役も兼任するなど、幅広い経済活動を展開しました。さらに、翼賛政治会常任総務として、政治にも関与しました。戦後、1946年5月8日に貴族院議員を辞職。その後、公職追放となり、間もなく死去しました。

家族と親族

道倶の家族についても触れておきます。妻は裕子（青山寛五女、澤宣元養女）で、長男は泰倶（陸軍主計大尉）、二女は直子（難波経一夫人）でした。

歴史的文脈における位置づけ

岩倉道倶の生涯は、明治維新後の激動期を生き抜いた華族の典型例と言えるでしょう。華族としての特権を享受する一方、近代日本の経済発展に貢献しました。その活動は、時代背景を踏まえることでより深く理解することができます。貴族院議員としての役割、企業経営者としての活動、そして翼賛政治会への参加など、彼の多様な活動は、日本の近代史における重要な一端を担っていました。彼の経歴を詳細に調べることで、明治・大正・昭和初期の政治・経済・社会構造を理解する上で貴重な資料となります。

参考文献

岩倉道倶の生涯や活動を知る上で、以下の参考文献が役立ちます。

『人事興信録』第8版、第13版 (人事興信所)
『翼賛議員銘鑑』(議会新聞社)
『貴族院要覧（丙）』(貴族院事務局)
『議会制度百年史 貴族院・参議院議員名鑑』(大蔵省印刷局)
* 『平成新修旧[[華族家系大成]] 上巻』(霞会館)

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