飯野城

飯野城（いいのじょう）

飯野城は、宮崎県えびの市飯野に位置する山城です。別名を亀城、または鶴亀城とも呼ばれており、現在は亀城公園として整備され、市民の憩いの場となっています。この城は、えびの市の指定史跡にも登録されており、その歴史的価値が認められています。

立地と構造

城は、比高約50メートルの河岸段丘上に築かれており、天然の要害となっています。南側は川内川に面し、東と西側は川の支流が流れる険しい崖となっています。北側には押建山がそびえ立ち、城を守る壁の役割を果たしていました。このような地形を利用した堅固な造りが、飯野城の特徴です。

城の内部は、本丸、二の丸、三の丸を中心に構成され、見張り台、桝形、弓場といった郭が設けられていました。現在でも、約10メートルほどの石垣が遺構として残っており、当時の姿を偲ぶことができます。

歴史

飯野城の歴史は、12世紀にまで遡ります。永暦元年（1160年）に、日下部重貞が真幸院司に任命され、真幸院を守護するためにこの地に居城を築いたのが始まりとされています。しかし、日下部氏が没落すると、康永4年（1345年）には北原兼幸が真幸院司となり、飯野城を居城としました。

その後、永禄7年（1564年）に北原氏が滅亡すると、飯野城は島津氏の所有となり、島津貴久の次男である島津義弘が城主となりました。天正15年（1587年）には、義弘の嫡男である島津久保が城主となりましたが、久保は文禄の役に参加中の文禄2年（1593年）に病死しました。

元和元年（1615年）には、一国一城令によって飯野城は廃城となり、その役割を終えました。しかし、その跡地は現在、亀城公園として整備され、地域の歴史を伝える重要な場所となっています。

現在の飯野城

現在は、城の遺構の一部が残り、石垣や土塁などが確認できます。また、公園内には展望台や遊歩道が整備され、訪れる人々は歴史を感じながら散策を楽しむことができます。春には桜が咲き誇り、お花見の名所としても知られています。

飯野城は、その歴史的な価値とともに、市民の憩いの場として、これからも大切にされていくことでしょう。

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