岩城宣隆

岩城宣隆（いわき のぶたか）

岩城宣隆は、江戸時代初期に活躍した大名であり、出羽亀田藩の第2代藩主です。また、久保田藩士多賀谷家の初代としても知られています。その生涯は、佐竹家、多賀谷家、そして岩城家という三つの家を渡り歩く、波乱に満ちたものでした。

生い立ちと多賀谷家

天正12年（1584年）、岩城宣隆は佐竹義重の四男としてこの世に生を受けました。幼名は不詳です。当初は多賀谷重経の養嗣子となり、長兄である佐竹義宣から偏諱を授かり、多賀谷宣家（たがや のぶいえ）と名乗りました。しかし、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦い後、多賀谷家は改易となり、宣家は実家の佐竹家に戻ることとなりました。

久保田藩士として

慶長7年（1602年）、長兄である佐竹義宣が出羽へ転封となると、宣隆は養父である多賀谷重経と共にこれに従いました。久保田藩の重臣として、初めは仙北白岩城主、後に山本檜山城主を歴任しました。その後、宣家が岩城家を相続した際に、多賀谷家の名跡は佐竹一門の戸村義国の次男、彦太郎隆経が継承することになりました。

亀田藩主へ

寛永5年（1628年）8月、宣隆の甥にあたる亀田藩主・岩城吉隆（佐竹義隆）が、久保田藩主であり兄の佐竹義宣の養嗣子となったため、その跡を継ぎ、亀田藩主となりました。同年9月19日には、江戸幕府の2代将軍である徳川秀忠や、その子である家光に御目見えを果たしています。

改名と藩政

寛永11年（1634年）、宣隆は名を改め、岩城宣隆と名乗るようになりました。寛永20年（1643年）には、山形藩主であった保科正之が陸奥国会津藩へ転封となる際、戸沢政盛、六郷政勝と共に山形城番を務めました。また、検地を行うなどして藩政の基礎を固めました。

隠居と最期

明暦2年（1656年）7月25日、宣隆は家督を嫡男である重隆に譲り、隠居生活に入りました。寛文12年（1672年）、89歳という高齢でその生涯を閉じました。

系譜

実父：佐竹義重
実母：宝寿院（伊達晴宗の娘）
養父：小野崎義昌、多賀谷重経

正室：珪台院（多賀谷重経の娘）
継室：顕性院（真田信繁の五女）

子女：
岩城重隆（長男、母は顕性院）
岩城隆家
娘

養子：
多賀谷隆経（戸村義国の次男）

注釈

岩城宣隆は、その生涯において複数の家を渡り歩き、それぞれの立場で重要な役割を果たしました。佐竹一門としての繋がりを保ちながら、多賀谷家、岩城家という異なる家系の命運にも深く関わった人物と言えるでしょう。その波乱に満ちた生涯は、多くの史料に記録されており、その足跡を辿ることで、江戸時代初期の大名家の複雑な人間関係や政治情勢を垣間見ることができます。

出典

三浦賢童編 「秋田武鑑 全」（無明堂出版、昭和56年初版、原著は「久保田家中分限帳」の著者）
『円福寺記録』
『常陸名家譜』（多賀谷氏）
『常総遺文』（七 多賀谷系図）
『亀田岩城家譜』
『佐竹秋田家譜』
『寛永日記』
『明正天皇紀』（寛永二十年 自七月二日至同十八日）
『寛政重修諸家譜』

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