岩本寺

岩本寺（いわもとじ）

高知県高岡郡四万十町に位置する岩本寺は、真言宗智山派に属する寺院です。この寺院は藤井山、五智院とも称され、四国八十八箇所の第三十七番札所に認定されています。岩本寺では五つの本尊が安置されており、それぞれの仏像は不動明王、聖観世音菩薩、阿弥陀如来、薬師如来、地蔵菩薩の坐像です。これらの仏像は信仰の対象として多くの参拝者に崇められています。

本尊の真言

本尊それぞれには独自の真言が存在し、信者はこれを唱えることで功徳を得るとされています。

• - 不動明王 : のうまくさんまんだばざらだんせんだまかろしゃだそわたやうんたらたかんまん
• - 聖観世音菩薩 : おんあろりきゃそわか
• - 阿弥陀如来 : おんあみりたていせいからうん
• - 薬師如来 : おんころころせんだりまとうぎそわか
• - 地蔵菩薩 : おんかかかびさんまえいそわか

このような真言を唱えることで、仏の力を授かり、心の安定を図ることができます。また、馬が合うご詠歌「六つのちり五つの社あらわしてふかき仁井田の神のたのしみ」も、岩本寺の信仰の深さを物語っています。

歴史

伝説によれば、岩本寺は天平年間（729年 – 749年）、聖武天皇の命により行基が創建したとされています。この最初の時期には、「仁井田七福」という名称がつけられており、当時の重要な神社と深い関わりがあったことがわかります。その後、弘仁年間（810年 – 824年）には空海（弘法大師）がこの寺を増築し、「仁井田五社十二福寺」と改称しました。

歴史の中で、岩本寺は何度も火災に見舞われながらも再建され続けてきた経緯があります。特に、天正年間（1573年 – 1592年）には一度焼失し、尊快親王の導きによって再興が行われました。さらに、中世末には岩本坊という宿坊が繁盛し、1652年から1688年の間に福円満寺の別当が岩本寺に移り、改称された経過があります。その後の明治時代には神仏分離政策により一時期廃寺となりますが、1889年には復興を果たし、現在に至ります。

環境と境内の構成

岩本寺の境内は、まず山門（仁王門）が訪れる人々を迎えます。そこを入ると、本堂が建ち、1978年に新築された本堂内には多くの天井絵が展示されています。これらの絵は一般市民やアーティストによって描かれたもので、ひときわ目を引くのはマリリン・モンローの肖像です。

本堂の他にも、大師堂で大師像を拝顔でき、開山堂には矢負い地蔵が祀られています。聖天堂という円形の堂では歓喜天が祀られているなど、多様な施設が用意されています。境内には手水場、納経所、清流殿などが整備されており、参拝者はゆっくりと心の安らぎを体感できます。

また、境内の裏手には土佐くろしお鉄道の線路が通っており、訪問中に列車を目にすることができるのも特徴的です。駐車場も完備されており、訪問のアクセスが良好です。

アクセスと交通手段

岩本寺へは、鉄道でJR四国土讃線の窪川駅から徒歩0.7km、またはバスを利用することができます。一般道を通る場合は国道381号からアクセスでき、周辺環境も整っており、参拝には最適な場所です。

このように、岩本寺は観光地としてだけでなく、宗教的、歴史的な価値を持つ場所であり、訪問することで多くの学びと心の豊かさを得ることができるでしょう。

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