スタラ・ザゴラ

スタラ・ザゴラ：8000年の歴史を刻むブルガリアの古都

ブルガリア中南部に位置するスタラ・ザゴラは、8000年の歴史を持つとされる古都です。バルカン半島の豊かな歴史を語る上で欠かせない都市であり、その歴史は紀元前6世紀から紀元前5世紀にまで遡ります。この地は、古くからトラキア人が居住し、ベロエという名前で呼ばれていました。 発掘調査から新石器時代の居住区や銅鉱が発見されており、古代から鉱山都市として栄えていたことがうかがえます。

ローマ帝国の支配下では、ローマ皇帝トラヤヌスにちなみアウグスタ・トラヤナと改称されました。その後、東ローマ帝国時代には女帝エイレーネーの名をとってイリノポリスと呼ばれ、ブルガール族の攻撃に備えた都市改修が行われるなど、幾度となく歴史の大きな変化を経験してきました。717年にはブルガリアの支配下に置かれ、テルヴェル・ハーンの支配地となり、ブルガリア帝国がバルカン山脈以南に領土を拡大する端緒となりました。この時代にはボルイという名前で呼ばれていました。

1122年には、東ローマ帝国とペチェネグ族との間でベロイア戦争と呼ばれる戦闘がスタラ・ザゴラ（当時ベロイアと呼ばれていた）で起こりました。その後、1371年にはオスマン帝国の支配下に置かれます。1840年には、トルコ語名「エスキザーラ」からスラヴ語の「ジェレズニク」へと改称され、さらに1870年には現在の「スタラ・ザゴラ」へと改称されました。1878年のブルガリア公国の成立後、東ルメリ自治州に編入されたのち、同州のブルガリアへの併合により、ブルガリアに復帰しました。

スタラ・ザゴラは、首都ソフィアから約231キロメートル離れたスタラ・ザゴラ州の州都です。地中海性気候に属し、年間平均気温は摂氏13度と温暖な気候に恵まれています。人口は約16万人。古くからの歴史と現代社会が調和した活気のある都市となっています。

スタラ・ザゴラは、ブルガリアを代表するビール、「ザゴルカ」の名前としても知られています。このビールは、ハイネケン傘下のZagorka Breweryで醸造されています。地元商工会議所によると、スタラ・ザゴラはヨーロッパでも最も古い都市の一つとされており、その長い歴史の中で培われた文化と伝統が現代に息づいています。

スタラ・ザゴラ出身の著名人には、アンナ・トモワ＝シントウ（ソプラノ・オペラ歌手）、ヴェッセリーナ・カサロヴァ（メゾソプラノ・オペラ歌手）、キリル・フリストフ（作家）、アネリア、マリア（ポップ・フォーク歌手）、ウスタタ（ラッパー）などがいます。

興味深い事実として、南極のリヴィングストン島にあるベロー山は、スタラ・ザゴラの古名ベロエにちなんで名付けられました。姉妹都市は、バレイロ（ポルトガル）、ダウンパトリック（イギリス）、クルシェヴァツ（セルビア）、ラリサ（ギリシャ）、ラドム（ポーランド）、サマーラ（ロシア）、シェフィールド（イギリス）など、世界各国に広がっています。スタラ・ザゴラは、歴史と文化、そして現代の活気が融合した魅力あふれる都市なのです。

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