峰翁祖一

峰翁祖一（ほうおう そいち）は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて活躍した臨済宗の僧侶です。文永10年（1273年）に生まれ、延文2年（1357年）3月に84歳で没しました。正宗大暁禅師とも称されます。

生涯

峰翁は24歳で出家し、当初は下野国（現在の栃木県）の雲巌寺で高峰顕日や南浦紹明に師事しました。その後、筑前国（現在の福岡県）の崇福寺で南浦紹明から印可を受け、その高弟の一人として名を馳せました。

嘉元2年（1304年）には、南浦紹明に従って上京し、同門の宗峰妙超が創立した大徳寺で碧巌録を研修しました。南浦紹明の没後、峰翁は崇福寺の三世となり、寺の発展に尽力しました。

建武2年（1335年）には、美濃国（現在の岐阜県）の遠山荘の地頭であった遠山氏に招かれ、大圓寺（現・岐阜県恵那市）を開創しました。この寺で峰翁は修行に励み、多くの弟子を育成しました。その後も、暦応元年（1338年）に吉祥寺（現・岐阜県関市）、大禅寺（現存せず）などを開創し、暦応2年（1339年）には三河国（現在の愛知県）の太平寺を臨済宗に改宗しました。

興国元年（1340年）には、月菴宗光など多くの弟子が峰翁のもとに集まりました。貞和年間（1345年 - 1350年）には、伊予国（現在の愛媛県）に大通寺を開創しました。晩年には法弟の滅宗宗光に請われ、尾張国（現在の愛知県）の妙興寺に移り住みましたが、延文2年（1357年）3月、大圓寺で生涯を閉じました。

人物

峰翁は、大応国師の法を継承し、その禅風を広めたことで知られています。また、海蔵寺の記録では、鎌倉幕府の執権北条時宗の異母弟であると伝えられています。しかし、この説には異論もあり、峰翁の生年や年齢に関する記録には矛盾点も指摘されています。

関連寺院

峰翁は、以下の寺院を開創、または深く関わったとされています。

大圓寺：美濃国遠山荘に開創された寺院で、峰翁が初祖となる。
吉祥寺：美濃国武儀郡富野村に開創された寺院。
大禅寺：美濃国恵那郡阿木村に開創された寺院。（現存せず）
大通寺：伊予国風早に開創された寺院。
海蔵寺:筑前国遠賀郡に開創された寺院。大応国師について勤業中、この地に修禅場として開いたとされる。
少林寺：勢州桑名城下に創立された寺院。
妙興寺:尾張国に位置し、晩年に移り住んだとされる。

これらの寺院は、峰翁の禅の足跡を今に伝える重要な場所となっています。

著作

仏祖直伝

参考文献

臨済宗五山派・美濃大円寺興亡史　花園大学国際禅学研究所
大通寺の木造大暁禅師（峰翁祖一）倚像　松山市
* 『岩村町史』 9.大円寺（明覚山） - WAIP（国立国会図書館）

峰翁祖一は、その生涯を通じて多くの寺院を開創し、多くの弟子を育成しました。その禅風は、後世の禅宗に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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