島崎赤太郎

島崎赤太郎：日本の音楽教育に貢献した作曲家、オルガン奏者

島崎赤太郎（1874年7月9日 - 1933年4月13日）は、明治から昭和初期にかけて活躍した日本の作曲家、音楽教育者、そしてオルガン奏者です。東京音楽学校（現在の東京藝術大学）教授として、日本の音楽教育に多大な貢献をしました。

生涯

島崎赤太郎は、東京の築地で大工棟梁の息子として生まれました。一家は彼が幼い頃にキリスト教に改宗し、父親はオルガンを製作・出品するなど、音楽への関心も持っていました。東京音楽学校に入学した島崎は、ルドルフ・ディットリヒや小山作之助らに師事し、音楽の基礎を築きました。卒業後は母校の助教となり、1901年には昭憲皇太后の前で演奏するという栄誉に浴しました。

1902年、文部省の給費留学生としてドイツのライプツィヒ王立音楽院へ留学し、名指揮者アルトゥール・ニキシュが校長を務める中、パウル・ホーマイエルやエミル・パウルらに師事し、オルガンと作曲を深く学びました。留学中に東京音楽学校教授に就任し、1906年に帰国。
帰国後は、オルガンと音楽理論の指導に尽力し、オルガンの普及に貢献しました。文部省視学委員や唱歌編纂委員も務め、『尋常小学唱歌』の作曲委員会主任として、日本の音楽教育に大きな影響を与えました。

1930年に東京音楽学校を退職し、1933年に永眠。谷中霊園に埋葬されました。

主な作品

島崎赤太郎は、数多くの楽曲を作曲しました。代表的な作品には以下のようなものがあります。

獨逸膺懲の歌
御立太子礼奉祝合唱歌
御大礼奉祝合唱歌
真宗宗歌
日本の赤十字
御大喪の歌
人形を送る歌
最上川
田舎の冬

また、多くの学校の校歌も作曲しており、その数は多岐にわたります。

旧制第一高等学校の全寮寮歌
山口県立下関南高等学校校歌
十文字高等学校校歌
長野県大町高等学校
京華女子中学校・高等学校校歌
函館大妻高等学校校歌
静岡県立静岡高等学校
西南学院大学校歌
立教大学校歌
山形師範学校校歌

著書

島崎赤太郎は、教育者として多くの著書も残しました。

オルガン教則本1,2
リード オーガン アルバム
古典ピアノ樂の裝飾音（翻訳）
詳解楽語辞典
和声学教科書 例題の鍵（案）
對位法教科書（翻訳）
詳解楽典

評価と後世への影響

島崎赤太郎は、明治中期から昭和初期にかけての日本の音楽教育において、オルガンと作曲法の教師として重要な役割を果たしました。瀧廉太郎、岡野貞一、永井幸次、中田章、福井直秋、信時潔、井上武士など、多くの著名な音楽家が彼の教えを受けています。彼の音楽教育における功績は大きく、日本の音楽史に深く刻まれています。

近年、島崎赤太郎の業績は再評価の動きが進んでおり、新たな史料の発掘と史料批判を通じて、より普遍的な島崎像の確立が期待されています。

叙勲

1917年：ルーマニア王冠四等勲章
1928年：勲三等瑞宝章

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