島津忠徹

島津忠徹 (しまづ ただゆき)

島津忠徹は、江戸時代後期の日向国佐土原藩の第10代藩主です。寛政9年（1797年）に第9代藩主・島津忠持の長男として生まれました。文化13年（1816年）に父の隠居に伴い家督を継ぎ、佐土原藩主となりました。

藩政と派閥抗争

忠徹は藩政において文治を奨励しました。これは学問や文化を重んじる政策であり、藩の発展に寄与すると期待されました。しかし、この政策は藩内に武断派と文治派という二つの派閥を生み出すことになります。

武断派は従来の武士の気風や武力を重視するグループであり、文治派は学問や文化を重んじるグループでした。両派閥の対立は激化し、藩内を二分する抗争へと発展しました。この抗争は、本家である薩摩藩をも巻き込む事態となり、大規模な粛清が行われることになりました。最終的には文治派が勝利し、藩政は文治中心へと舵を切ることになりました。

学習館の創設と財政再建

文政8年（1825年）には、藩校である学習館が創設されました。これは文治派の勝利を象徴する出来事であり、藩士の子弟の教育の場として、多くの人材育成に貢献しました。また、藩財政の立て直しにも取り組みました。当時の佐土原藩は財政難に苦しんでおり、忠徹は藩札の発行や製紙業の専売化などの政策を打ち出し、財政再建を目指しました。その結果、天保8年（1837年）までに藩財政は再建を果たしました。

死去と後継者問題

天保10年（1839年）4月26日、忠徹は参勤交代中に病に倒れ、近江国草津宿の本陣で亡くなりました。享年43歳でした。この時、忠徹は幕府に後継者の届け出をしていませんでした。そこで、忠徹は宿泊予定を1泊2日から77日間に変更し、その間に三男の忠寛を後継者とする手続きを進めました。宿主の田中七左衛門や親戚である膳所藩主本多康禎（忠徹と康禎の妻は共に島津斉宣の娘）らの助力を得て、幕府への届け出を進めました。跡目相続の書類が揃った翌日の5月26日に忠徹の死去が発表され、忠寛が後継者として認められました。

系譜

父：島津忠持
母：雅姫、明子（島津重豪の養女、島津久徴の娘）
正室：随姫、祀姫、随真院（島津斉宣の娘）
子女
島津忠寛（三男）：生母は随真院（正室）
宮原義敬（四男）
島津忠施
小川久抹
勵：伊達宗孝正室
美子：遠山友禄正室
* 艶：京極高厚正室


島津忠徹は、藩主として文治を奨励し、藩の発展に貢献しました。しかし、その過程では派閥抗争や財政難という困難にも直面しました。彼の生涯は、藩主としての責任と、その時代の社会情勢を反映するものと言えるでしょう。

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