川原湯温泉駅

川原湯温泉駅について

川原湯温泉駅は、群馬県吾妻郡長野原町に位置するJR東日本吾妻線の駅です。この駅は、八ッ場ダム建設の影響を大きく受けたことで知られています。ダム建設に伴い、旧駅を含む一帯が水没することになったため、2014年10月に線路の付け替えと駅の移設が行われました。新しい駅は、旧駅から南西に約1.5km離れた、約70m高い場所に位置しています。

歴史

川原湯温泉駅の歴史は、1946年4月20日に運輸省の川原湯駅として開業したことに始まります。当初は貨物や荷物の取り扱いも行っていましたが、1961年に貨物、1984年に荷物の取り扱いを廃止。1985年には無人駅となりました。1987年の国鉄分割民営化によりJR東日本の駅となり、1991年には現在の川原湯温泉駅に改称されました。

2014年には、八ッ場ダム建設に伴う駅の移転が行われ、9月24日に旧駅舎での営業を終了、10月1日に新駅舎での営業を開始しました。これにより、東京近郊区間に編入され、利便性が向上しました。しかし、2017年には特急「草津」号の停車駅から除外され、定期ダイヤでは普通列車のみが停車するようになりました。さらに、2021年には乗車券の委託販売が解除され、終日無人駅となっています。

駅構造

現在の川原湯温泉駅は、島式ホーム1面2線を有する地上駅で、橋上駅舎を備えています。駅舎とホームの間には階段とエレベーターが設置されており、バリアフリーにも配慮されています。長野原草津口駅が管理する無人駅です。

旧駅は相対式ホーム2面2線を持つ地上駅で、両ホームは跨線橋で連絡していました。吾妻線で唯一残っていた木造駅舎でしたが、駅の移転に伴い解体され、現在は八ッ場あがつま湖の湖底に沈んでいます。駅移転の際、旧駅舎を復元した地域振興施設を整備する計画がありましたが、実現には至っていません。

移転をめぐる問題

駅の移転に際しては、国土交通省が1995年に新駅用地の一部を地権者から取得したものの、代替地を提供していなかったという問題がありました。このため、新駅開設後も地権者が固定資産税を支払い続けるという異常な状況が続いていました。

駅周辺

現在の駅は八ッ場あがつま湖の南岸に位置しています。駅の東側には新しい温泉街が整備されており、共同浴場「王湯」を中心に、旧温泉街から移転した商店や旅館が立ち並んでいます。

駅前道路は当初温泉街に直接通じておらず、県道を経由する必要がありましたが、その後湖畔を経由して温泉街に抜けられるようになり、2021年9月からは県道に指定されています。

旧駅周辺は、国道145号に面した高台に旧温泉街が形成されていました。しかし、ダム工事に伴い、建物は解体され、旧線のレールなどの設備も撤去されました。旧駅は吾妻渓谷遊歩道や樽沢トンネルへの最寄り駅でしたが、駅移転によりこれらの施設へのアクセスは大きく不便になっています。2021年4月には、八ッ場ダム天端と下流を結ぶ多目的エレベーターが開放され、吾妻渓谷方面へのアクセスが若干改善されました。

駅周辺には、キャンプ場「川原湯温泉あそびの基地NOA」、川原湯神社、川原湯温泉街、川原湯簡易郵便局などがあります。

バス路線

駅前には「川原湯温泉駅」停留所があり、JRバス関東の高速バス「上州ゆめぐり号」「東京ゆめぐり号」が乗り入れています。また、2024年1月からは東吾妻町乗合バスも発着しています。

かつては「上州ゆけむり号」が旧駅に発着していましたが、運行経路の変更に伴い廃止されました。新駅に移転後、長らくバス路線がありませんでしたが、2022年7月に停留所が新設され、10年ぶりにバス路線が復活しました。

隣の駅

川原湯温泉駅の隣の駅は、吾妻線において、岩島駅と長野原草津口駅です。

まとめ

川原湯温泉駅は、八ッ場ダム建設という時代の変化に翻弄されながらも、新たな姿で地域を支える駅として、その役割を果たしています。駅の移転や周辺環境の変化は、この地域の歴史を物語る重要な要素となっています。

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