川越観光自動車

川越観光自動車株式会社（KAWAGOE Motor Corp.）

川越観光自動車は、東武鉄道グループに属するバス事業者で、埼玉県中部を中心としたエリアで路線バスや市町村コミュニティバスを多数運行しています。バス停の表記や車内アナウンスなど、バス事業においては「川越観光バス」の名称が用いられています。

概要

現行の会社は、東武鉄道が直接関与する子会社として設立され、連結子会社となっています。2003年の東武グループ再編により、東武鉄道の子会社としては朝日自動車を統括とする朝日自動車グループに属することになりました。しかし、車両の塗装や貸し出しなど、両社の間には少なくとも1998年の路線バス事業参入時から繋がりが見られます。

元々は社名の通り、埼玉県川越市に本社を置く観光バス会社でしたが、旧東武バス（東武鉄道バス事業本部）のエリア再編に伴い、路線を継承する形で1998年に路線バス事業へと移行しました。現在は路線バスが主な事業となっています。川越市内へは、空港連絡バスが乗り入れるほか、一部路線にバス停があるのみとなっています。

埼玉県からは、国民保護法に基づく指定地方公共機関に指定されています。

沿革

1933年（昭和8年）8月3日 - 川越自動車合資会社設立。
1951年（昭和26年） - 松山営業所（後の東松山営業所）開設。
1962年（昭和37年） - 東武鉄道グループ化。
1966年（昭和41年）8月4日 - 川越観光自動車株式会社設立。
1966年（昭和41年）11月1日 - 川越観光自動車と川越自動車が合併。
1998年（平成10年）4月1日 - 一般乗合旅客運送事業（路線バス事業）営業開始。
1998年（平成10年）5月14日 - 旅行業事業廃止。
1998年（平成10年） - 同社初のCNGバス運行開始。
2001年（平成13年）3月31日 - 観光バス事業営業終了。
2001年（平成13年） - 全国初のCNG中型ノンステップバス運行開始。
2001年（平成13年） - 旅行代理店との船車券契約解除。
2002年（平成14年）4月1日 - 森林公園営業所開設。
2003年（平成15年） - 同社初の路線用ノンステップバス運行開始。
2005年（平成17年）5月18日 - 「坂戸・川越〜成田空港線」が開業し、高速バスに参入。
2008年（平成20年）9月13日 - 管内一般路線バスにPASMO導入。
2022年（令和4年）3月1日 - 管内一般路線バスおよび東松山市・桶川市の各市内循環バスにバスロケーションシステム導入。
2022年（令和4年）5月28日 - 関越交通の運行する「尾瀬号（バスタ新宿・川越駅〜尾瀬戸倉・大清水線）」に参入し、共同運行を開始。
2024年（令和6年）7月1日 - 成田空港線高速バスにプラズマイオンクラスター発生装置や各座席にUSBポートを設置した新車を2台導入。

川越観光自動車のルーツは、1933年に埼玉県川越市で設立された観光バス会社「川越自動車合資会社」に遡ります。1962年には東武鉄道の傘下に入り、その後1966年に東武鉄道が設立した「川越観光自動車」と合併しました。

貸切バス専業時代は、観光バス事業と旅行業を手がけ、川越市仙波町や東松山市箭弓町に営業所や車庫を、東松山駅や鶴瀬駅に旅行案内所を構え、川越・東松山周辺を営業エリアとしていました。しかし、2000年2月に施行された貸切バス事業の規制緩和により競争激化が予想されたため、東武鉄道は東武バスやグループ会社の観光バス事業の縮小を進めることになりました。これに伴い、川越観光自動車は規制緩和に先立ち、1998年4月に路線バス事業に参入し、東武バスから越生・北本地区の3路線を移管されて運行を開始するとともに、観光バス事業を段階的に縮小し、2001年3月には観光バス事業を廃止しました。

観光バス事業を行っていた時代と現在では、会社の性質が大きく異なっています。当時は、自治体や開発事業者などからの補助金で赤字が補填される路線が東武バスから移管され運行されていたため、東武バスの運行エリア内に路線が存在するなど、独自の運行エリアを持っていませんでした。その後も、東武バスの事業縮小に伴い、東武バスからの路線移管や独自の新路線開設が行われていましたが、2002年4月には東武バス森林公園出張所の移管により森林公園営業所を開設し、同所や周辺営業所などが担当していた坂戸市・東松山市・小川町・北本市などの広大な運行エリアを全て引き継いだことで、路線と車両数が大幅に増加しました。同時に、川越・東松山の両営業所は森林公園営業所へ統合される形で移転・閉鎖となりました。

営業所

森林公園営業所：（車庫）埼玉県比企郡滑川町羽尾3897-3（森林公園駅前）

廃止・休止営業所

川越営業所：（車庫）埼玉県川越市仙波町2-9-21（2002年3月廃止）
東松山営業所：（車庫）埼玉県東松山市箭弓町1-12-11（2002年3月廃止、現在は東上不動産がピタットハウス東松山店として車庫建物を利用）
東松山駅旅行案内所：埼玉県東松山市、東松山駅構内
鶴瀬駅旅行案内所：埼玉県富士見市、鶴瀬駅構内（建物は現存）

エリア

埼玉県東松山市、坂戸市、鴻巣市、北本市、桶川市周辺など、埼玉県中部を中心とした幅広い地域に路線網を持っています。この地域は1970年代以降、東京のベッドタウンとして開発された新興住宅団地が多く、北本団地、鳩山ニュータウン、小川パークヒル、東松山マイタウン、パークタウン五領、高坂ニュータウン、小川みどりが丘、坂戸ニューシティにっさい、うらら花高坂などに代表されるように、駅から郊外の住宅団地へ向かう路線が路線網の大半を占めています。過去には、和光市や上尾市のコミュニティバスも担当していました。

会社名に「川越観光」とありますが、これは貸切専業時代の名残であり、川越市内を通る路線は長らく「坂戸・川越 - 成田空港」の空港高速バスのみで、一般路線バスは存在しませんでした。しかし、現在は西武文理線が路線化されたことにより、川越市内を走る一般路線が誕生しました。

一部区間では、東武バスウエスト、国際興業バス、朝日バス、国際十王バスと路線が重複しており、2024年9月24日からは国際十王バスの一部路線で共同運行を開始します。

臨時バス運行時には、東武バスウエストから応援バスが入ることがあります。過去には朝日自動車や国際十王交通から応援があったこともありますが、現在は行われていません。

本田技研工業小川工場・寄居工場の従業員輸送も、イーグルバスとともに担当しています。

一般路線・受託路線の営業地域

川越市
東松山市
狭山市
鴻巣市
桶川市
北本市
坂戸市
鶴ヶ島市
日高市
熊谷市 (2024年9月24日以降)
入間郡：毛呂山町、越生町
* 比企郡：鳩山町、滑川町、吉見町、小川町

また、高速バス（空港連絡バス）により千葉県の成田国際空港にも乗り入れています。

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