川部修詩

川部修詩：俳優、脚本家、そして映画評論家としての波瀾万丈な生涯

川部修詩（かわべ しゅうじ、1922年4月17日 - 2006年4月3日）は、日本の俳優、脚本家、映画評論家、そして雑誌編集者として知られる、多才な人物でした。旧芸名は川部守一（かわべ しゅいち）、テレビ脚本や記録映画の制作では秋田謙三（あきた けんぞう）という筆名を用いていました。日本映画ペンクラブ会員でもあり、千代田区区長を務めた川部爽介を父に持ち、華麗なる一族の出身でもありました。

東宝から新[[東宝]]へ：俳優としての出発と激動の時代

1922年、東京府豊多摩郡渋谷町（現在の東京都渋谷区）に生まれた川部は、父が麹町区長を務めていた時期に幼少期を過ごしました。日本大学法文学部芸術学科映画美学専攻（現日本大学藝術学部映画学科）に進学しますが、1943年12月、陸軍に入隊。終戦後の1946年10月、東宝に入社し、俳優としてのキャリアをスタートさせます。しかし、同年発生した東宝争議の影響で出演作品『破戒』は公開されませんでした。

争議を機に、川部は他の組合員と共に東宝を脱退。新[[東宝]]映画製作所の設立に参加し、東宝作品を再編集した『東宝千一夜』などに出演します。1947年には結婚。新[[東宝]]は1948年に正式に独立、1949年には自主配給を開始します。川部は新[[東宝]]作品に多数出演しますが、『キネマ旬報』への投稿が原因で仕事を干された時期もありました。1956年、『ノイローゼ兄さんガッチリ娘』出演を機に芸名を川部修詩に改名。以後も俳優活動を続けながら、映画批評の執筆を開始します。宇津井健主演の『スーパージャイアンツ』シリーズには全作品に出演し、個性的な役柄を演じました。

テレビ映画と記録映画へ：多様な表現活動

1961年、新[[東宝]]の倒産を機にフリーランスとなり、多くのテレビ映画に出演。宣弘社プロダクションの『恐怖のミイラ』や『隠密剣士』、東映テレビプロダクションの『特別機動捜査隊』など、数々の作品で活躍します。一方、秋田謙三の名義でテレビ脚本の執筆や記録映画、文化映画の製作・演出にも携わり、岩手県平泉をテーマにした短篇映画『まぼろしの都 平泉』を制作。

俳優業と並行して、成人映画にも出演。田中純一郎の『日本映画発達史』では、黎明期の成人映画界の主要出演者として名前が挙げられています。しかし、1966年の『番頭お色け日記』出演を最後に成人映画界からは姿を消します。

雑誌編集と大河ドラマ：キャリアの新たな展開

1970年、出版社サンデーアートに入社し、『ワールド・エアー・カーゴ』の編集者となります。しばらく俳優業を休止しますが、1973年に『さえてるやつら』に出演し俳優業に復帰。再び『特別機動捜査隊』などに多数出演する傍ら、1977年の大河ドラマ『花神』で「鷹司政通」役を演じ、その後も『おんな太閤記』『徳川家康』など、数多くの大河ドラマに出演します。1978年には『白い巨塔』にセミレギュラー出演。1979年には日本映画ペンクラブ会員となり、映画評論家としての活動も活発化させます。1983年には中川信夫を研究した著書『B級巨匠論 中川信夫研究』を出版。

1980年代後半からは、フジテレビのトレンディドラマにもゲスト出演するなど、幅広い活動を見せます。1991年に廃刊した『ワールド・エア・カーゴ』では編集長を務めていました。1991年発行の『100万人の映画ファンが選んだ名画パラダイス365日』では、映画評論家としてベスト怪談映画を選出しています。2006年4月3日、83歳で死去しました。

川部修詩のフィルモグラフィー

川部修詩は、新[[東宝]]黄金期を代表する俳優として数多くの映画に出演。戦後日本の映画史において重要な役割を果たした一方、テレビドラマ、成人映画、記録映画など、多岐にわたるジャンルで活躍しました。彼の出演作品は、東京国立近代美術館フィルムセンターなどにも所蔵されています。

川部修詩のビブリオグラフィー

川部修詩は、映画批評の執筆だけでなく、中川信夫研究など、多くの著書を発表しました。

この膨大なフィルモグラフィーとビブリオグラフィーは、川部修詩の活動の多様さと、その時代の映画界における彼の存在感を示すものです。

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