巡爵

巡爵についての詳細

巡爵（じゅんしゃく）は、平安時代初期に成立した特定の官職に就いている官人を対象とした叙爵に関する慣習を指します。この制度は、年労制の一形態として機能し、官人の在職年数に基づいて毎年正月に行われる除目において、特定の官職を務める六位の者の中から選ばれた一人に、従五位下の爵位を授けるものです。

具体的には、六位蔵人、式部丞、民部丞、外記、史、近衛将監、衛門尉などの官職に従事する六位の官人に対して行われます。特に、六位蔵人に関してはその成果が顕著で、蔵人所に勤務する極臈（年労第一の者）は毎年巡爵を受けることができたとされています。一般的には、叙留（留任）を除き、多くの朱爵を受けた官人はその後、国司に転任することが多く見られました。

巡爵を受けた蔵人は、殿上を退くことになり、蔵人五位として新たな巡任に加わるとされています。この制度には、他の官職と比べて巡爵ができる官職の位に応じた頻度や条件が異なっていました。たとえば、大蔵丞や内記、検非違使、織部正といった職務にある者たちは、数年ごとに年労が高い者から叙爵されることがあり、これを年労叙爵と呼びます。

一方で、六位の文官や武官は「諸司」や「諸衛」といった集団にまとめられ、毎年1名または2名が叙爵されるという形を取っていました。この場合、対象の範囲が広がるため、年労叙爵よりも叙爵の機会が少なくなる傾向がありました。

また、極臈の者が殿上を退くことを望まず、あえて叙爵を受けない選択をすることもあり、これを「鷁退」（逆退とも表記）と呼びます。これは、六位のままでいることを選び、最末席の蔵人に再度なろうとする慣行です。この他、蔵人以外の官人も五位に叙爵されることで官位相当制の原則に従う必要性から職を失うことを懸念し、巡爵を回避して六位に留まる事例も見受けられました。

このような巡爵の影響により、五位以上の殿上人とそれ以下の地位の人々との間に分離が進展することがありました。これが、さらに当時の身分制度を強化する一因ともなりました。

関連項目

• - 氏爵
• - 任官
• - 退官
• - 売官
• - 年給
• - 年官
• - 年爵
• - 栄爵
• - 成功 (任官)
• - 叙留

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