市川家光

市川家光について

市川家光（いちかわ いえみつ）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将であり、武田氏、そして後に徳川氏の家臣として活躍しました。

生涯

市川家光は、武田信玄の側近として早くからその名が知られており、弘治2年（1556年）頃から文書上で活動が確認できます。永禄9年（1566年）には、富士浅間神社山中神主宛の龍朱印状の奉者を務めています。その後も、永禄10年9月までその活動が確認されていますが、一時その後の動向は不明となります。

しかし、永禄10年5月から龍朱印状奉者を務めていた「備後守」が、花押の形から市川家光と同一人物である可能性が指摘されています。天正5年（1577年）からは、法名である「以清斎元松」の名で史料に登場します。

天正3年（1575年）の長篠の戦いでは、家光の二人の息子、昌房と内膳正が戦死するという悲劇に見舞われました。内膳正には満友という幼い息子がいましたが、家光は駒井肥前守勝英の子である昌倚を養子に迎えました。その後、満友が元服すると、家督は昌倚から満友に譲られ、昌倚は新たに家を興すことになります。

武田氏滅亡後、甲斐を領有した徳川家康に仕えることとなり、桜井信忠、工藤喜盛、石原昌明と共に、徳川四奉行の一人として甲斐の支配に携わりました。

家光の没年は正確には分かっていませんが、徳川家康が関東へ転封する時期に、石原昌明と共に死去したとされています。その後、徳川氏が再び甲斐を領有した際、新たな四奉行として跡部昌忠と小田切茂富が任命されました。

人物像

市川家光は、武田氏、徳川氏という二つの有力な戦国大名に仕えた武将です。武田信玄の側近として文書奉行を務めるなど、武将としての能力だけでなく、行政手腕にも優れていたと考えられます。また、長篠の戦いで息子を失い、養子を迎えるなど、激動の時代を生き抜いた人物でもあります。

参考文献

服部治則「近世初頭武士集団における親族関係（六）」『山梨大学教育学部研究報告』21号、1970年
黒田基樹「市川家光」柴辻俊六編『武田信玄大辞典』新人物往来社、2000年

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