桜井信忠

桜井信忠の生涯

桜井信忠（さくらい のぶただ）は、戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将であり、後に徳川幕府の幕臣となりました。生年は天正元年（1532年）と推定されていますが、確かな記録は残っていません。没年は慶長15年（1610年）とされています。彼は甲斐武田氏の家臣であり、その後徳川氏に仕え、奉行として活躍しました。初名は信富、官途名は右近助、受領名は安芸守です。父は桜井河内守信貞、または桜井信富とされています。室は小幡虎盛の娘です。

桜井氏の出自と系譜

『甲斐国志』によると、桜井氏は甲斐守護・武田信縄の末子である桜井信貞（河内守）を祖とする一族で、武田氏の居館である川田館の隣、甲府市桜井町に屋敷を構えていました。信忠の父は桜井信貞または桜井信富とされ、信忠に至る系譜は二代説と三代説が存在します。母は武田信虎の妹という説もあります。

武田家臣としての活動

『甲陽軍鑑』によれば、桜井信忠は武田信玄と勝頼に奉行として仕え、市川家光と共に内政を担当しました。公事奉行として、武田家の政治運営に深く関わっていたことがわかります。彼の初見文書は、天正4年（1576年）8月に甲府の一蓮寺に宛てた文書です。

徳川家臣としての活動

天正10年（1582年）3月、織田信長による武田征伐で武田氏が滅亡し、同年6月には本能寺の変で信長が死去しました。その後、甲斐を領有した徳川家康に仕え、小田切茂富、跡部昌忠、石原昌明らと共に代官大久保長安の配下、徳川四奉行の一員となりました。徳川氏の支配下においても、その行政手腕を発揮しました。

晩年と墓所

桜井信忠の法名は実岫玄相居士です。彼の墓所は山梨県甲府市桜井町の東禅寺にあります。これは、彼の出自である桜井氏が拠点としていた地であり、その生涯を終えた場所でもあります。

参考文献

桜井信忠に関する研究は、以下の文献で詳しく知ることができます。

服部治則「近世初頭武士集団における親族関係（七）」『山梨大学教育学部研究報告』22号
黒田基樹「桜井信忠」『武田信玄大辞典』新人物往来社、2000年
平山優「桜井信忠」『武田勝頼のすべて』新人物往来社、2007年
平山優『新編武田二十四将正伝』武田神社、2009年

これらの文献は、彼の生涯や活動についてより深く理解するための重要な手がかりとなります。

桜井信忠は、戦国時代から江戸時代初期にかけて、武田氏と徳川氏という二つの有力な勢力に仕え、内政や奉行として重要な役割を果たしました。その功績は、現代においても歴史研究者によって詳細に分析されています。

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