市川青虎 (初代)

初代 市川 青虎

初代 市川 青虎（1926年10月25日 - 2006年12月17日）は、昭和から平成にかけて幅広い分野で活躍した人物です。歌舞伎役者としての才能に加え、映画やテレビドラマ俳優、舞台演出家としてもその名を知られました。屋号は澤瀉屋、定紋は四方澤瀉、替紋は丸に九枚笹を使用。本名は森下 勇。

生涯

大阪市南堀江で生まれた市川青虎は、幼少期から歌舞伎の世界に足を踏み入れました。9歳で二代目市川小太夫に師事し、市川 小金吾を名乗ります。1936年11月、大阪中座での『乗合船』で初舞台を踏み、丁稚長太役を演じました。第二次世界大戦中には兵役で一時舞台を離れますが、復帰後の1942年には大阪角座で名題昇進を果たしました。

戦後は、市松延見子（後の松尾國三の妻、松尾波儔江）の一座に松竹から出向し、1950年には関西歌舞伎に復帰。その後、1955年に東宝に移籍し、フリーランスとなってからは商業演劇を中心に活動しました。1977年、松尾國三の後援により、大阪新歌舞伎座で師匠の俳名であった「青虎」を名跡として襲名しました。

二代目中村扇雀（後の四代目坂田藤十郎）の近松座公演への参加を機に、歌舞伎興行に復帰。2001年には名古屋御園座で『小笠原諸礼忠孝』に出演しましたが、その後病に倒れ療養生活に入りました。狂言作者の奈河彰輔は、その後も出演を依頼したものの、本人が自信がないとして固辞したと述べています。晩年は上方歌舞伎塾で講師を務め、後進の育成に尽力しました。

2006年12月17日、肺不全のため吹田市内の病院で逝去。享年80歳でした。

主な出演作品

テレビドラマ

市川青虎は、数多くのテレビドラマに出演しました。

NHKの『大阪千一夜　良寛さん』（1955年）
武家義理物語より『逃げ傷』『八十郎始末』
井原西鶴作 “世間胸算用”より『師走坊主』『今は昔の人ごころ』
その他、『のれん三代目』『四つの窓』『お寺のぼんぼん』など、数々の作品に出演。
1958年からは、『河内風土記』『白いジャングル』『十六文からす堂』といったKTV・FNN系列のドラマにも出演しました。
1960年代には、『竜巻小天狗』やドラマ『現代人間模様』、東芝土曜劇場などに出演。
時代劇では、『三匹の侍』、『銭形平次』、『日本剣客伝』などに出演。
必殺シリーズにもゲスト出演しています。
その他、『大岡越前』、『水戸黄門』、『暴れん坊将軍II』など、数多くの人気時代劇にも出演しました。

映画

映画俳優としても活躍し、様々な作品に出演しました。

宝塚映画の『弥次喜多漫才道中』や『森の石松幽霊道中』
東映京都の『集団奉行所破り』、『くノ一忍法』、『忍法忠臣蔵』など、時代劇を中心に活躍しました。

舞台

千姫_(宝塚歌劇)【1968年版】 - 擬斗
* ミュージカル・ロマンス『怒涛の果て』（1969年） - 擬斗

市川青虎は、歌舞伎役者としてだけでなく、映画やテレビドラマ、舞台など、幅広い分野でその才能を発揮し、多くの人々に感動を与えました。上方歌舞伎塾での指導を通して、後進の育成にも尽力し、その功績は今もなお語り継がれています。

もう一度検索