常陸那珂港

常陸那珂港：北関東の海運を支えた港の歴史と現在

常陸那珂港は、かつて茨城県ひたちなか市と那珂郡東海村に位置する重要な港湾でした。しかし、2008年12月25日に日立港、大洗港とともに茨城港へ統合され、現在は茨城港常陸那珂港区としてその役割を担っています。

構想から開港、そして現在

常陸那珂港の歴史は、1985年に発表された「常陸那珂国際港湾都市構想」に遡ります。2000年4月には、3つに分かれた埠頭のうち北埠頭が開港し、常陸那珂有料道路や国道245号といった交通網も整備されました。太平洋に面した地理的条件から、物流拠点としての発展が期待され、周辺には大型ショッピングセンターや運動公園、シネマコンプレックスなどの開発計画も進められました。

将来的には、北関東自動車道を通じて北関東各地と直結し、東京湾の過密航路を避けるための海運拠点としての役割が期待されています。その期待に応えるように、コマツや日立建機といった企業が相次いで進出し、大規模な工場を稼働させています。これらの企業は、大型機器を分解せずに輸出できる点や、陸上輸送コストの大幅な削減といったメリットに着目しています。

歴史

1946年6月: 連合国軍が土地を接収し、空軍の射爆撃場に指定
1973年3月: 水戸射爆撃場が日本へ返還
1985年7月: 射爆撃場跡地利用推進協議会が「常陸那珂国際港湾都市構想」を発表
1991年10月: 隣接する国営ひたち海浜公園が一部開園
1994年11月: 勝田市、那珂湊市が合併、ひたちなか市誕生
1998年3月: 大型ショッピングセンターオープン
1998年12月: 北埠頭の供用開始
2001年2月: 中央埠頭着工
2003年12月: 常陸那珂火力発電所の一部、運転開始
2007年1月: コマツが茨城工場（面積:19万平方メートル）の稼動を開始
2008年4月: 日立建機が常陸那珂臨港工場(面積:18万3千平方メートル）の稼働を開始

港湾施設

常陸那珂港区は、北ふ頭、中央ふ頭、南ふ頭の各地区で構成されています。北ふ頭地区から段階的に整備が進められ、一部設備は既に供用が開始されています。1998年には内貿バース、2000年には外貿バースが供用開始となり、現在は中央ふ頭地区の整備が中心に進められています。また、荷役や船舶の安全性を向上させるため、東防波堤に加えて中央ふ頭地区に新たな防波堤の整備も進められています。

係留施設

2015年2月現在の係留施設は以下の通りです。

北ふ頭地区

外易バース
330m (-14m) ×1バース - 最大5万トン級コンテナ船用
230m (-12m) ×1バース - 最大3万トン級RORO船用
170m (-10m) ×1バース - 最大1万トン級RORO船、一般貨物船用
内易バース
390m (-7.5m) ×3バース - 最大5000トン級RORO船、一般貨物船用
500m (-5.5m) ×5バース - 最大2000トン級一般貨物船用
東京電力専用岸壁
385m (-18m) ×1バース - 13万トン級石炭船用
500m (-11m) ×1バース - 最大14.5万トン化学工業貨物船

中央ふ頭地区

耐震強化岸壁：130m (-7.5m) ×1バース - 最大5000トン級一般貨物船、緊急物資用
内易バース：250m (-9m) ×1バース - 最大6500トン級RORO船、一般貨物船用

南埠頭地区

外易バース：260m (-7.5) ×1バース - 最大5000トン級一般貨物船用
その他
内易バース：360m (-5.5m) ×2バース - 最大2000トン級一般貨物船、作業船用

外郭施設

東防波堤：計画延長6,000m、整備済延長5,400m（2015年2月現在）
北防波堤：完成延長500m
中央防波堤：計画延長330m（平成20年度から着手）

北埠頭コンテナターミナル

ターミナル面積は約18ヘクタール。ガントリークレーン2基、トランスファークレーン3基を備えています。運営管理は、株式会社茨城ポートオーソリティーと常陸那珂コンテナターミナル株式会社が行っています。

ガントリークレーン
諸元：吊上げ荷重55.6トン、アウトリーチ48.5m、最大取扱40個/hr
貨物：コンテナ用
台数：2基
トランスファークレーン
諸元：吊上荷重52.0トン
貨物：コンテナ用
台数：3基

地区の土地利用計画

常陸那珂港周辺のひたちなか地区では、以下の8つの地区に分け、土地利用計画が進められています。

1. リサーチパーク
2. 商業・業務地区
3. センター地区
4. 商業・文化地区
5. 移住地区
6. レクレーション地区
7. テクノパーク
8. 健康・人材育成地区

定期航路

北海道定期RORO航路（常陸那珂港－苫小牧港）
韓国・中国定期コンテナ航路（常陸那珂港－釜山－上海－釜山－苫小牧港－八戸港－仙台港－小名浜港－常陸那珂港）
中国定期コンテナ航路（常陸那珂港－名古屋港－水島港－大阪港－横浜港－東京港－常陸那珂港）
北米定期コンテナ航路（北米西海岸－常陸那珂港）
北米定期RORO航路（常陸那珂港－ロングビーチ－北米東海岸）
欧州定期RORO航路（常陸那珂港－欧州）
極東ロシア定期在来航路（常陸那珂港－ナホトカ）

近隣港湾

日立港
大洗港
鹿島港

アクセス

車: 常陸那珂有料道路ひたち海浜公園IC・常陸那珂港ICが最寄り。
* 公共交通機関: 常磐線勝田駅から関係者のみ茨城交通直通バス常陸那珂火力発電所方面行き。

常陸那珂港は、その港格こそ失われましたが、茨城港の一部として、北関東の物流を支える重要な役割を担い続けています。今後の発展にも目が離せません。

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