平戸瀬戸

平戸瀬戸（ひらどせと）

平戸瀬戸は、長崎県平戸市の平戸島の北部と、九州本土（旧北松浦郡田平町）の間にある海峡です。「雷の瀬戸」という異名も持ち、自然の厳しさと美しさを兼ね備えています。

概要

平戸瀬戸は、南北約3.5km、最も狭い場所では幅約500mとなっています。最深部は水深40mに達し、その地形は多様性に富んでいます。別名として「雷ノ瀬戸」や「スペックス・ストレート」とも呼ばれています。スペックス・ストレートの由来は、初代平戸オランダ商館長ヤックス・スペックスにちなんでいます。

平戸瀬戸は、幅が狭く潮流が非常に速い（最大6.5ノット）という特徴があります。九州の北側沿岸と西側沿岸の各港を結ぶ最短ルート上に位置するため、船舶の交通量が非常に多く、航行の難所として知られています。潮流の速さと複雑な地形が組み合わさり、海難事故も発生しています。

平戸港外に浮かぶ黒子島は、亜熱帯性樹林の原始林が島全体を覆っています。タブノキ、ハマビワ、アコウ、ビロウなどが自生しており、その生態学的価値から国の天然記念物に指定されています。

歴史

平戸瀬戸は、古くから平戸島と本土を結ぶ航路や、九州沿岸を結ぶ航路として利用されてきました。江戸時代には、平戸藩の藩主である松浦氏が参勤交代の際に、平戸城下から船で瀬戸を渡り、田平町日の浦に上陸して平戸往還に入るルートを使用していました。また、江戸時代初期から明治時代にかけては、平戸瀬戸周辺で捕鯨が盛んに行われていました。

航路

平戸瀬戸には、平戸往還の海路を担ってきた西の平戸港と東の田平港があります。航行の安全のため、北端の魚見崎灯台、航路北部を東水道（北進）と西水道（南進）に分ける広瀬（島）の広瀬灯台、南部の平戸大橋橋桁中央の夜間白灯など、多数の航路標識が設置されています。

航路は、1947年から1969年にかけて水深7mでの浚渫整備が行われました。その後、船舶の大型化に対応するため、1990年に開発保全航路に指定され、1999年度に東航路、2014年2月には西航路の整備が完了しました。

東航路: 水深-10.5m、幅員320m、対象船舶8,000D/W級貨物船
西航路: 水深-8.5m、幅員230m、対象船舶3,000D/W級貨物船

周辺情報

平戸瀬戸の周辺には、以下のような観光スポットがあります。

平戸市街: 歴史的な建造物や美しい景観が楽しめます。
平戸城: 瀬戸を外堀として利用して築城された城で、その独特な構造を見ることができます。
平戸大橋: 平戸瀬戸にかかる橋で、周辺の景色を一望できます。
田平天主堂: ロマネスク様式の美しい教会です。

外部リンク

* 瀬戸航法ガイド'>平戸瀬戸航法ガイド（佐世保海上保安部）

もう一度検索