田平港

田平港の概要

田平港は、長崎県平戸市田平町に位置する地方港湾で、長崎県が管理しています。平戸瀬戸の本土側に位置し、かつては平戸島への主要な玄関口として重要な役割を果たしていました。1977年の平戸大橋開通以前は、平戸港との間でフェリーが頻繁に運航され、多くの人々が利用していました。

最盛期には、フェリーがほぼ24時間体制で1日に30往復も運航し、佐世保市からのバスも接続して、大変賑わっていました。当時から、近くの平戸口駅（現在のたびら平戸口駅）に合わせて「平戸口」と呼ばれており、現在でも時刻表や観光案内図などでその名残が見られます。

江戸時代には、平戸往還の起点として、渡船の乗船者を調べる番所が設けられていました。また、機帆船が普及するまでは、潮流の早い平戸瀬戸を航行する船舶の水先案内人の基地でもありました。

平戸大橋の開通後は、平戸へのアクセスは道路交通が中心となりましたが、現在でも的山大島への定期船が寄港するほか、漁船の水揚げ基地としての重要性は保たれています。2005年の平戸市発足以降、港湾の再整備が進められています。

歴史

田平港の歴史は古く、大正時代にはすでに船舶の運航が開始されていました。

1918年（大正7年）：平戸運送株式会社が田平 - 平戸間に初の発動機船を就航。
1920年（大正9年）：田平運輸会社と平戸運送が統合し、田平運輸株式会社設立（1935年に平戸口運輸と改称）。
1934年（昭和9年）：指定港湾となり、湾内を埋め立てて魚市場や製氷工場などが建設。
1946年（昭和21年）：平戸合同海運株式会社設立、田平 - 平戸間などで内航海運事業を開始。
1948年（昭和23年）：浮桟橋を設置。
1949年（昭和24年）：平戸口運輸が平戸港に「平戸駅」を開設、田平港との間で国鉄との客貨連絡運輸を開始。
1952年（昭和27年）：長崎県が港湾管理者となる。
1950年（昭和25年）：北松魚市株式会社が発足し、魚市場業務を継承。
1969年（昭和44年）：昭和天皇、香淳皇后が田平港 - 平戸港間をお召し船で移動。
1984年（昭和59年）：平戸港までの定期フェリー航路が廃止。

航路

現在、田平港からは平戸市営フェリーが以下の航路を運航しています。

田平 - 平戸 - 神浦（的山大島） - 的山（的山大島）

かつては長崎港・佐世保港・生月島などへの定期航路も存在しましたが、現在は廃止されています。また、1991年までは博多港 - 福江港の航路も寄港していました。

施設

田平港には、以下の施設があります。

田平港ターミナルビル：バスの待合所、飲食店、平戸市商工会事務所などが入っています。
平戸瀬戸市場：地元産の農水産物の直売所、レストラン、観光案内所があります。
北松魚市：水産物の取引が行われる市場です。
九十九島漁業協同組合田平支所:漁業関係の施設です。
長崎県漁業組合連合会田平事務所:漁業関係の施設です。

田平港ターミナルビル

田平港ターミナルビルは、鉄筋コンクリート3階建てで、西肥自動車（西肥バス）のバスターミナルとしても機能しています。1977年の平戸大橋開通に合わせて整備され、長らく「平戸口桟橋」というバス停名でしたが、2023年4月1日に「田平港」に改称されました。

1階には、バス待合室、飲食店、かつての西肥バス乗車券販売窓口を改装した待合スペースがあります。3階には、平戸市商工会（旧田平町商工会）事務所があります。

かつて平戸港行きのフェリーが発着していた待合所ビルは、道を挟んで北側に現存しており、現在は飲食店として利用されています。

バス路線

田平港からは、以下の西肥バスの路線が利用できます。

佐世保方面：半急行バスで佐世保バスセンターまで行くことができます。吉井～佐世保バスセンター間は急行運転となります。各駅停車の便もあります。
北松農業高・肥首方面：農業高校前、肥首、江迎方面へのバスが運行しています。（土日祝運休）
松浦方面:御厨駅、松浦駅方面へのバスが運行しています。
平戸島方面：平戸桟橋、平戸営業所方面へのバスが運行しています。

かつては博多行きの高速バスや長崎駅前行きの特急バスも運行されていましたが、現在は廃止されています。

また、さつき観光の高速バスが、田平港と博多を結んでおり、途中松浦と唐津を経由します。

平戸瀬戸市場

平戸瀬戸市場は、「田平港シーサイドエリア活性化施設」として2012年にオープンしました。地元産の農水産物の直売所、レストラン、観光案内所があり、地域振興に貢献しています。

周辺情報

田平港の周辺には、以下の施設があります。

国道204号
長崎県道152号田平港線
長崎県道230号北松公園平戸口線
松浦鉄道たびら平戸口駅
青洲会病院
平戸愛恵病院
城山公園
田平公園
十八親和銀行田平支店
田平郵便局
* 平戸大橋

まとめ

田平港は、かつて平戸島への重要な玄関口として、また、漁港として発展してきました。現在では、周辺離島への航路や、地域の特産品を販売する施設が整備され、観光客にも利用されています。田平港を訪れることで、地域の歴史や文化に触れることができるでしょう。

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