平瀬實武

平瀬實武（ひらせ さねたけ）

平瀬實武は、1901年11月17日に生まれ、1994年1月18日に亡くなった日本の政治家です。鹿児島県で生まれ育ち、第15代鹿児島市長を務めました。革新系の市長として、市民生活の向上に尽力し、その実績は多岐にわたります。

生い立ちと学歴

平瀬は、鹿児島市下荒田町の旧家である最上家に生まれましたが、後に平瀬家の養子となりました。旧制鹿児島県立第二鹿児島中学校（現在の鹿児島県立甲南高等学校）を経て、旧制第七高等学校造士館（現在の鹿児島大学）文科を卒業しました。その後、東京帝国大学農学部農業経済学科に進学し、1926年に卒業しました。学生時代には、同じ下荒田町出身の佐多忠隆と共に社会主義について学んだという記録が残っています。

政治家としてのキャリア

大学卒業後、平瀬は家業の銭湯を経営しながら、政治の世界にも足を踏み入れました。1933年には鹿児島市会議員に当選し、10年間務めました。その間、1942年からは副議長も務めました。1939年には、鹿児島県会議員にも当選し、市議会議員と兼任しました。

1943年、平瀬は串木野町（現在の串木野市）の町長に就任し、疎開対策や戦災からの復興に尽力しました。しかし、1947年には公職追放となります。追放解除後、1952年の衆議院議員選挙に立候補しましたが、落選しました。

1955年には串木野市長に当選し、財政再建に力を注ぎました。そして、1959年には鹿児島市長選挙に立候補し、見事当選。鹿児島市初の革新系市長となりました。市長在任中は、宅地造成、下水道整備、ゴミ収集の定時化など、市民生活に直結する政策を積極的に推進しました。また、鹿児島市民憲章の制定や鹿児島南港の開設、イタリアナポリ市との姉妹都市締結など、文化・国際交流にも尽力しました。公園や街路の緑化にも力を入れ、観光行政にも貢献しました。

1963年の市長選では、前回敗れた保守系候補に惜しくも敗れ、市長の座を退きました。その後は、有機農法の推進活動に取り組みました。1967年には鹿児島県議会議員に当選し、1971年の県議選でも再選を果たし、1975年まで県議を務めました。

銭湯経営と文化活動

平瀬は、銭湯経営者としても知られています。鹿児島市下荒田で温泉銭湯「竹迫温泉」を経営していました。この銭湯は、1892年に「竹迫湯」として開業し、昭和初期に平瀬が温泉を掘削して現在の形になりました。平瀬は鹿児島の銭湯における温泉掘削を推進し、「鹿児島温泉銭湯文化の父」とも呼ばれています。鹿児島市長時代も番台に座り、シェークスピアの原書を読む姿が有名でした。

1992年には、フジテレビの番組で竹迫温泉からの中継が行われ、当時90歳だった平瀬が生出演しました。このことは、彼の多才さとユニークな人柄を広く知らしめる出来事となりました。

平瀬實武は、政治家として、また文化人として、鹿児島に大きな足跡を残しました。彼の活動は、今もなお、多くの人々に影響を与え続けています。

晩年

1994年1月18日に逝去しました。

外部リンク

* MBCアーカイブス あの日のふるさと 戦後の鹿児島市長①勝目清市長・平瀬實武市長・三ッ井卯三男市長 - 南日本放送のアーカイブ番組。平瀬實武の画像も掲載されています。

もう一度検索