広峯神社

広峯神社について

兵庫県姫路市の広峰山の頂に位置する広峯神社（ひろみねじんじゃ）は、日本全国にある牛頭天王の総本宮の一つです。そのため、八坂神社と共に牛頭天王総本宮を名乗る争いが存在します。元々は県社とされ、現在は神社本庁の別表神社としても認識されています。また、別名を広峯牛頭天王とも呼ばれ、天平時代からの長い歴史を有しています。

祭神

正殿には素戔嗚尊と五十猛命が主祭神として祀られ、左殿には奇稲田姫尊、足摩乳命、手摩乳命、右殿には宗像三女神、天忍穂耳命、天穂日命などが祀られています。さらに、摂社や末社も複数存在し、西の白幣山には吉備神社や荒神社、本殿周囲には熊野権現社や稲荷社、天神社、冠者殿社、その他多くの社があります。加えて、最近創建された官兵衛神社は黒田孝高を祭神としており、地域の関心が集まっています。

歴史的には、広峯神社は崇神天皇の時代から存在し、724年には吉備真備がこの地で神の威光を感じたことが由来とされています。784年には白幣山に創建されたとされ、その後972年に現在の広峰山頂に遷座しました。

牛頭天王に対する信仰は、疫病や災厄からの免れを願うもので、特に農業の豊饒を祈る内容が強調されています。この信仰は「広峯信仰」と定義され、農作物の生産に大きく影響を与える神として崇められてきました。

歴史と文化

中世から近世にかけて、広峯神社は地域の神官や御家人たちと深い関係を持っていました。特に鎌倉時代から室町時代にかけては、多くの神社が地域の有力者と結びついて繁栄し、それに伴い広峯神社も栄えました。神社には多数の社家が存在し、江戸時代にはそれぞれが神事を執り行っていました。特に、広峯氏は歴史的に重要な社家で、三十六歌仙の一人ともいわれています。

明治時代以降、神社の体制に大きな変化が訪れ、社家や手代の多くがその地位を失いました。元々の繁栄を支えていた農業信仰も時代の変遷と共に衰退していきました。現在は「憩いの広場」として公園化された旧社家の跡地に当たる場所が残されています。かつては伊勢参りの際に参拝されていた習慣がありました。

祭礼と文化財

広峯神社では様々な祭りが行われ、特に御田植祭や祈穀祭が注目されています。御田植祭は農作物の豊作を心から願う伝統的な行事であり、地域の人々が集まって行われます。一方、祈穀祭ではその年の稲作の豊饒を祈願し、様々な神事が執り行われます。

また、本殿は室町時代の建筑で国の重要文化財に指定されており、その独特な構造が特に評価されています。その他にも拝殿や宝券印塔など、重要な文化財が存在し、地域の歴史的価値を体現しています。

交通アクセス

広峯神社へのアクセスは、播但線の野里駅から徒歩またはバスでの移動が可能です。神姫バスを利用することでスムーズに参拝ができます。また、車道も整備されており、便利に訪れることができるようになっています。

広峯神社はその豊かな歴史と文化、そして地域信仰の中心として、今なお多くの人々に愛され続けています。

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