広島県道181号下御領新市線

広島県道181号下御領新市線

概要

広島県福山市を縦断する主要な県道の一つ、広島県道181号下御領新市線について解説します。この路線は、福山市神辺町の字下御領にある国分寺前交差点（国道313号などと接続）を起点とし、駅家町を経由して、新市町大字戸手の戸手高校入口交差点（国道486号などと接続）を終点とする、全長約12.3キロメートルの一般県道です。

特徴と現状

本路線は、大部分が現在主要幹線道路である国道486号と並行しており、「旧道」という通称で広く呼ばれています。国道486号が整備される以前は主要なルートでしたが、旧道となった現在は比較的狭隘な区間も含まれます。かつて国道486号の一部として整備されたバイパス区間は、元々は本路線の改良として計画されたものです。このため、本路線は新道である国道486号と比較して、生活道路や地域内交通路としての性格が強いと言えます。一部区間では、他の県道（広島県道390号三谷神辺線、広島県道393号粟根神辺線、広島県道215号道上停車場中野線、広島県道392号中野駅家線など）との重複が存在します。主な道路施設としては、加茂川を渡る岩成橋があります。

歴史的背景

本路線は、古くから交通の要衝として利用されてきました。特に明治時代には、島根県の石見地方から大阪方面へ向かう「石州街道」の一部として位置づけられており、「石見銀山街道」としての役割も担っていました。また、並行する旧古代山陽道とも深い関わりがあり、沿線の「駅家」という地名は、奈良時代の宿駅に由来するとも言われています。県道としては、1960年（昭和35年）10月10日に広島県道52号として認定され、1972年（昭和47年）11月1日の県道番号再編で現在の181号に変更されました。沿線の自治体である芦品郡駅家町、深安郡加茂町が1975年（昭和50年）2月1日に、芦品郡新市町が2003年（平成15年）2月3日に、深安郡神辺町が2006年（平成18年）3月1日に順次福山市に編入されたことで、2006年以降は路線の全区間が福山市内に収まっています。

地理と沿線

本路線は福山市内のみを通過します。ルート上では、起点で国道313号や広島県道・岡山県道102号下御領井原線と、終点で国道486号や広島県道157号松永新市線といった主要国道や、複数の県道と接続しています。また、JR福塩線とも並行しており、沿線には道上駅、万能倉駅、駅家駅、近田駅、戸手駅、上戸手駅など複数の駅が点在し、地域住民の重要な交通手段となっています。沿線には、備後国分寺や堂々川砂留群、新池・古池、正戸山といった歴史的な名所や自然景観があります。特に新池・古池は、道路が池の中央を通る独特の景観を見せています。正戸山には戦国時代の山城跡や、昭和天皇の行幸記念碑があり、「御幸」という地名の由来ともなっています。また、福山平成大学、福山市北部図書館、福山市立戸手小学校、広島県立芦品まなび学園高等学校などの教育・公共施設も立地しており、地域の生活や文化を支える重要な役割を担っています。素盞鳴神社で行われる「けんかみこし」などの伝統行事も、この路線沿いの地域で受け継がれています。大佐山白塚古墳のような古代の遺跡も沿線に位置しており、この地域の長い歴史を物語っています。

結び

広島県道181号下御領新市線は、古代から現代に至るまで交通の要として機能し、地域の歴史や文化、そして日々の生活に深く根差した路線と言えるでしょう。並行する新道としての国道486号とは異なる趣を持ち、地域の歴史を感じさせる道として、今もなお多くの人々に利用されています。

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