広島県道22号福山鞆線

広島県道22号福山鞆線（ひろしまけんどう22ごうふくやまともせん）は、広島県福山市内を縦断する主要地方道です。福山市の中心部と風光明媚な鞆の浦を結ぶ幹線道路としての役割を担っています。起点は福山市入船町三丁目に位置する府中分かれ交差点で、ここでは国道二号及び国道三一三号と接続します。特に国道三一三号はこの交差点が起点であり、本路線と共に「ロマンチック街道三一三」の一部を構成しています。終点は福山市鞆町鞆であり、総延長は14.4キロメートルに及びます。

路線の歴史

本路線の歴史は古く、1954年（昭和29年）1月20日には当時の建設省によって主要地方道として指定されました。奇しくもこの路線の認定とほぼ同時期にあたる1954年2月28日には、並行して運行されていた鞆鉄道が廃止されています。その後、同年9月17日には広島県によって正式に県道として認定されました。

地域の行政区分変更に伴い、路線の位置づけも変わりました。1956年（昭和31年）9月30日、沿線であった沼隈郡鞆町と水呑町が福山市に編入された結果、本路線の全区間が福山市域を通ることとなり、同時に終点の地名表記も「沼隈郡鞆町鞆」から現在の「福山市鞆町鞆」に変更されました。

県道の番号再編が行われた1972年（昭和47年）11月1日には、現在の県道番号である22号が付与されました。また、1980年（昭和55年）10月2日に水呑大橋が開通したことで、福山市光南町三丁目から水呑町にかけての区間で経路の一部が変更されています。そして、1993年（平成5年）5月11日には、建設省によって改めて主要地方道として再指定を受け、現在に至ります。

現在の状況と特徴

福山鞆線は、その全区間が福山市内にありますが、区間によってその状況は異なります。特に芦田川大橋（広島県道三八〇号水呑手城線）が2003年（平成15年）に開通して以降、一部では三新田（北）交差点から福山商業高校入口交差点にかけての区間（福山市道や広島県道三八〇号）が、本路線よりも道路状況が良いとして実質的なバイパスのように利用される傾向があります。しかし、これらの迂回ルートは公式には本路線の一部ではありません。2007年（平成19年）には福山商業高校入口交差点付近に県道三八〇号の標識が設置されたことで、この区間が本路線に編入される可能性は低くなりましたが、利用者にとってルートが分かりにくいという問題は依然として残っています。

鞆の浦へ向かう道路は他にも存在しますが、海岸線沿いを進む本路線は、整備が最も進んでいる主要なアクセスルートです。他の道路は一部に狭隘な箇所があるため、本路線が地域の生活や観光において重要な役割を担っています。なお、福山市田尻町の一部区間では、異常気象時に通行規制が実施される場合があります。

沿線と地理

本路線の沿線には、福山市の公共施設、商業施設、教育機関、医療機関などが点在しています。起点付近には福山東警察署やポートプラザ日化（ゆめタウン、天満屋）、リーデンローズ、エディオン福山本店など、市の中心的な施設や商業拠点があります。さらに南下するにつれて、福山市中央公民館、JA福山市本所、ローズアリーナ、エフピコアリーナふくやまといった施設や、中国新聞社備後本社、広島県立福山工業高等学校、独立行政法人国立病院機構福山医療センター、福山市婦人会館などの施設が見られます。

地形的には、芦田川を水呑大橋で渡り、次第に沼隈半島へと入っていきます。沿線には福山市役所の水呑支所や鞆支所もあり、行政サービスも利用できます。福山市民図書館水呑分室や広島県立福山商業高等学校も近く、竹ヶ端運動公園には野球場、陸上競技場、プール、テニスコートなどが集まる広大なスポーツ施設があります。また、鞆鉄鋼団地のような産業拠点も存在します。

鞆の浦に近づくと、歴史的な街並みと共に、ばら公園や緑町公園のような憩いの場が現れます。鞆の浦港周辺には、仙酔島への市営渡船場や、走島への旅客船が発着する県営桟橋があり、地域の交通結節点ともなっています。また、かつて路線の傍らを走っていた鞆鉄道の跡地や、田尻民俗資料館なども沿線にあり、地域の歴史を感じさせます。終点の鞆町鞆付近は、瀬戸内海の燧灘に面した風光明媚な景勝地として知られ、多くの観光客が訪れます。本路線は、歴史的な旧街道である「鞆津往来」（鞆街道）とも並行する区間があり、古くから地域を結ぶ重要な道として機能してきました。

広島県道22号福山鞆線