広島県道390号三谷神辺線

広島県道390号三谷神辺線

広島県道390号三谷神辺線は、広島県福山市に位置する一般県道です。福山市神辺町内の三谷地区から川南地区を結んでおり、地域の生活や歴史に深く根ざした路線として重要な役割を担っています。

概要

本路線の起点は、福山市神辺町三谷にあり、広島県道・岡山県道103号七曲井原線に接続しています。終点は福山市神辺町川南で、神辺駅入口交差点において国道313号および広島県道214号神辺停車場線に接続する地点です。全体としての実延長は8.926kmとなっています。

歴史

この路線が通る地域は、古くから交通の要衝でした。もともとは、旧備後国福山（現在の福山市）と旧備中国松山（現在の岡山県高梁市）を結ぶ重要な往来の一部、および旧備後国内の旧山陽道（近世山陽道）神辺宿と東城（現在の庄原市東城町）を結ぶ往来の一部でした。これらの往来は、旧福山道や旧東城往来など様々な名称で呼ばれ、特に福山と備中松山を結ぶ道は、初代福山藩主・水野勝成公にゆかりのある地を通り、腰掛岩などの伝承も残っています。

明治期には、現在の三谷から西中条にかけての区間が、福山と岡山県川上郡を結ぶ道の一部として、また西中条から川北にかけての区間が、安那郡川北村から神石郡へ至る道の一部として位置付けられていました。

県道としての認定は、1960年（昭和35年）10月10日の広島県告示第682号により、広島県道211号三谷神辺線として行われました。その後、1972年（昭和47年）11月1日には広島県による県道番号の再編に伴い、現在の390号に変更されました。平成の大合併により、2006年（平成18年）3月1日には旧深安郡神辺町が福山市に編入され、現在では全線が福山市内に収まっています。

路線状況

本路線は、起点の三谷地区から西中条地区にかけて、福山市松永地域から岡山県井原市芳井地域にかけて存在する活断層「長者ヶ原 - 芳井断層」とほぼ並行して延びています。また、一部区間、特に字西中条地内や旧山陽道を踏襲する場所では、現在でも幅員が狭い箇所が残っており、注意が必要です。

路線の歴史的な繋がりから、起点の三谷地区から岡山県井原市芳井地域の国道313号まで延伸を望む声も聞かれます。しかし、その実現には既存の市道の改良や新たな道路の建設が必要であり、特に岡山県側は難色を示している状況です。

重複区間は以下の通りです。
広島県道393号粟根神辺線（福山市神辺町字東中条 - 福山市神辺町字西中条）
広島県道181号下御領新市線（福山市神辺町字西中条）

主な道路施設として、箱田川を渡る宮前橋、高屋川を渡る掛の橋があります。

地理

本路線は、広島県福山市のみを通過します。

交差する主な道路は、起点側から広島県道・岡山県道103号七曲井原線、広島県道393号粟根神辺線、広島県道181号下御領新市線、そして終点側の国道313号および広島県道214号神辺停車場線です。また、井原鉄道井原線とも交差しています。

沿線には、福山市立中条小学校や福山市立湯田小学校といった教育施設のほか、山王山、要害山といった自然の景観が広がっています。歴史的に重要な地域であり、旧山陽道神辺宿、廉塾ならびに菅茶山旧宅、神辺本陣跡といった名所、さらに吉野山公園や神辺城跡など、地域の歴史や文化を感じられる場所が多く点在しています。終点近くには、JR西日本福塩線と井原鉄道井原線が乗り入れる神辺駅があり、公共交通へのアクセスも担っています。

このように、広島県道390号三谷神辺線は、かつての歴史街道の面影を残しつつ、福山市神辺町内の重要な生活道路として、地域住民の移動や物流を支えています。一部には課題も抱えながらも、沿線の豊かな自然や歴史遺産と共に、地域に根ざした存在となっています。

もう一度検索