広州国民政府 (1925年-1926年)

広州国民政府（1925年-1926年）

広州国民政府は、1925年7月に中華民国の広東省広州市に成立した政府です。これは、孫文の死後、広東大元帥府の後継として誕生しました。政府主席には汪兆銘が就任しました。

歴史的背景

1925年3月、孫文が死去しました。彼の遺言は、「革命尚未成功、同志仍須努力」という言葉で知られ、汪兆銘によって起草されました。孫文の死後、大元帥の地位は当初、右派の胡漢民が務めました。

広州国民政府の成立

1925年7月1日、広州で広東軍政府が再編され、国民党（一期）三中全会で国共合作による中華民国国民政府が正式に成立しました。汪兆銘が政府主席に就任し、財政部長には廖仲愷が就きました。政府には、労働部や農民部などの省庁が設けられ、その責任者には国民党籍を持つ共産党員が任命されました。コミンテルンのミハイル・ボロディンが政治顧問、ソ連のヴァシーリー・ブリュヘルが軍事顧問となり、ソ連からの支援を受けました。しかし、同年8月20日に廖仲愷が暗殺され、胡漢民が事件に関与したとして役職を辞任しました。この際、蔣介石は汪兆銘ら左派を支持し、胡漢民を一時監禁しました。

右派勢力は一時後退しましたが、同年11月には戴季陶らが西山碧雲寺に集まり、共産党員の国民党籍剥奪などを決議しました（西山会議派）。左派はこれを認めず、直ちに無効を宣言しました。

1926年1月の国民党第2回全国代表大会で、汪兆銘は中央委員のトップに選出され、国民政府主席兼軍事委員会主席となり、国民党の指導者となりました。当時の蔣介石はまだ軍事委員会委員で黄埔軍官学校校長に過ぎませんでした。

共産勢力の台頭

汪兆銘は、広東国民政府で国民政府常務委員会委員長と軍事委員会主席を兼任しました。この政府は国民党右派を排除し、毛沢東ら中国共産党の党員も参加していました。毛沢東を国民党中央宣伝部長代理に任命したのは汪兆銘でした。共産党の李大釗、孫文未亡人である宋慶齢らがそれぞれ中央委員に選ばれました。

広州国民政府は、列国からの承認は得られなかったものの、国民党が直接掌握し、政治・軍事・財政・外交を統括する機関として、全国統一政権の規範となりました。

汪兆銘を委員長とする政府は、香港海員ストの支援など、民主的な側面を持ち、広州を国民革命の拠点とすることに成功しました。

広州国民政府の終焉

国共両党間の主導権争いが続く中、1926年3月20日、蔣介石が中山艦事件を起こし、汪蔣間の対立が激化しました。この事件で、蔣介石は国民政府連席会議において軍事委員会主席に選ばれ、党や軍における権勢を拡大させました。汪兆銘は職を辞任してフランスへ外遊し、共産党側の活動は制限されました。

1926年7月、蔣介石は北伐を開始しました。蔣介石を中心とする新右派は共産党の抑圧を図りました。1927年1月、武漢への遷都が強行され、武漢国民政府が成立したことで、広州国民政府は終焉を迎えました。その後、蔣介石は総司令職を廃され、汪兆銘に権力が委ねられました。

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