広恵寺城

広恵寺城について

広恵寺城（こうえじじょう）は、岐阜県中津川市福岡町に位置する城跡です。別名、廣恵寺城とも呼ばれています。この城は、中世にこの地を治めていた福岡遠山氏によって築かれました。現在、城跡は中津川市の指定史跡となっており、当時の歴史を今に伝える貴重な場所です。

歴史

広恵寺城の歴史は、鎌倉時代末期に遡ります。元弘・建武年間（1334年～1336年）に、遠山氏の一族である遠山景利が、木曽川以北を治めるために築城したとされています。この地は、北は飛騨、西は付知川、南は木曽川に面しており、交通の要衝として重要な役割を果たしていました。

1350年には、遠山景信が夢窓疎石の弟子である枯木紹栄を招き、福岡遠山氏の菩提寺として廣恵寺を開山しました。広恵寺は、城の近くに位置しており、城と寺は密接な関係にあったと考えられます。

その後、1360年には、美濃守護の土岐頼康が東池田氏を攻めた際に、広恵寺城主の遠山新藤太景信も従軍しました。しかし、翌年には、京都で仁木義長と戦い、土岐氏の長山頼基によって討たれてしまいました。

広恵寺城は、1526年に遠山昌利が苗木城へ拠点を移したことで廃城となりました。しかし、城跡には、当時の遺構が数多く残っており、中世の城郭を知る上で貴重な資料となっています。

伝説

広恵寺城には、後醍醐天皇の皇子である宗良親王にまつわる伝説が残されています。

遠山昌利が城主であった頃、宗良親王が広恵寺城に身を寄せていました。その時、近国の武士たちが蜂起し、城を包囲しました。城兵は少数で士気を失っていましたが、遠山昌利が社殿で一心に祈ったところ、二筋の白羽の矢が現れ、敵の陣中に飛び込みました。すると、空はかき曇り、雷鳴と共に大雨が降り出しました。敵兵が浮き足立つ中、遠山昌利は「天王の加護なり」と叫び、城兵を率いて突撃しました。敵兵は蜘蛛の子を散らすように逃げ、宗良親王は深く飛天王を崇敬し、扁額を奉ったと伝えられています。

遺構

現在、城ケ根山の山麓には、石積み、礎石、古井戸、庭池、土塁、堀などの遺構が残っています。また、廣恵寺址には観音堂、宝篋印塔、五輪塔などが残っています。

これらの遺構は、かつてこの地に城主館や武家屋敷が存在し、植苗木が中世の恵那郡北部の中心地であったことを物語っています。

参考文献

『福岡町史　通史編　上巻』
『恵那郡史』

外部リンク

* JAひがしみの　ひがしみの昔話　乙女ぶち

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