広瀬蒙斎

広瀬蒙斎（ひろせ もうさい）

広瀬蒙斎は、明和5年（1768年）に生まれ、文政12年2月10日（1829年3月14日）に没した江戸時代の儒学者であり、白河藩士として活躍しました。名は典または政典、字を以寧、仲謨などといい、通称は台八、号は蒙斎または仁里と称しました。陸奥白河の出身です。

経歴

蒙斎は、明和5年（1768年）に白河藩主松平家の家臣である広瀬庄八の子として生を受けました。幼少の頃から学問の才能を示し、松平定信の命により江戸の昌平坂学問所に入学。当時著名な儒学者であった柴野栗山に師事し、主に朱子学を深く学びました。学問所での修業後、白河藩の藩校である立教館において学頭、後に教授として教鞭を執りました。

松平定信の侍講としても活動し、幕政や藩政に深く関与しました。また、『集古十種』の編纂にも加わり、その序文を執筆するなど、文化的な事業にも貢献しました。文化7年（1810年）に定信が房総沿岸防備の幕命を受けた際には、房総の調査に随行し、海防計画の策定に影響を与えました。

文化9年（1812年）に定信が隠居し、嫡子の松平定永が家督を相続してからは、定永に仕え、様々な役職を歴任しました。さらに、定永の子である松平定和の教育にも携わりました。蒙斎は江戸と桑名を頻繁に往来していましたが、後に江戸に постоянно詰めとなりました。

文政9年（1826年）、定永の従者として大塚の六園からの帰途に中風を発症し、病床に伏せることとなりました。文政11年（1828年）には、すべての職を辞し、翌年の2月に築地の藩邸で病没しました。享年63歳でした。

著作

蒙斎は、数多くの著作を残しました。彼の学問的探求と多岐にわたる関心を示すこれらの著作は、後世に貴重な遺産として伝えられています。

著書

『羽林源公伝』
『蒙斎先生文集』
『文集別録』（「酬夢編」「有方録」「栄使録」「湯谷十日記」「扈遊録」「轍環録」「しがらみ」）
『広瀬蒙斎遺稿』
『讚藪』
『京都漫草』
『筆林』

編著

『白河証古文書』
『白河風土記』
『白河古事考』

碑文

「感忠銘碑」
「浮屠碑」
「南湖開鏨碑」
「霊山碑」

関連項目

菅茶山
瀬川浅 - 広瀬蒙斎の孫
瀬川直一 - 曾孫、瀬川浅の子

参考資料

「日本人名大辞典」講談社
佐藤洋一「松平定信の領内巡検所収 -随行する文人と画人-」（図録「定信と文晁　松平定信と周辺の画人たち」福島県立博物館 1992年）

外部リンク

菅茶山記念館
* しらかわデジタルミュージアム

もう一度検索