康僧会

康僧会（こう そうえ、生年不詳 - 280年）は、中国三国時代の呉に現れた、康居出身の訳経僧です。

生涯

康僧会の先祖は康居の人々で、インドに住んでいました。父は商人として交阯（現在のベトナム）に渡りました。

彼は幼くして両親を亡くし、その後、出家して仏道修行を始めました。また、天文学や讖緯の学問にも通じていたと伝えられています。

赤烏10年（247年）、呉の都である建業（現在の南京）に入り、孫権に対して21日間の祈祷を行った結果、仏舎利を銅壺の中から出現させたとされています。この奇跡によって孫権の支持を得て、江南地方で最初の仏教寺院である建初寺を建立したと伝えられています。しかし、支謙が康僧会に先立つこと20年以上前から江南で宣教活動を行っていたことを考慮すると、建初寺に関するエピソードは、康僧会を讃えるために作られた俗説である可能性も指摘されています。また、交阯の方が江南よりも早く仏教が伝来していたことから、ベトナムの建初寺が先に建立され、その名前を模倣したという説も存在します。

その後、康僧会は経典の漢訳に尽力しました。中でも、『六度集経』は翻訳されたものではなく、康僧会自身の著作であると考えられています。

また、孫晧との間で繰り広げられた因果応報に関する対論は、彼の伝記に詳細に記録されており、初期の中国仏教と儒教的な観念との接触や交渉の端緒として注目されています。

西晋の太康元年（280年）に円寂しました。著書には『六度集経』の他に、『呉品経』、『雑譬喩経』などがあります。

伝記資料

『出三蔵記集』巻13
『高僧伝』巻1

参考文献

荒牧典俊「インド仏教から中国仏教へ：安般守意経と康僧会・道安・謝敷序など」『仏教史学』第15巻第2号、平楽寺書店、1971年10月、1-45頁
八重樫直比古「康僧会訳『六度集経』第68節をめぐる覚書」『ノートルダム清心女子大学紀要 文化学編』第32巻第1号、ノートルダム清心女子大学、2008年、23-33頁

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