庾道憐

庾道憐（ゆ どうりん）は、中国東晋時代の人物で、廃帝司馬奕（しば えき）の皇后でした。彼女は、司馬奕の祖母である明穆皇后（庾文君、ゆ ぶんくん）の姪にあたります。本貫は潁川郡鄢陵県（えいせんぐん えんりょうけん）にありました。父は庾冰（ゆ ひょう）で、明穆皇后の兄にあたります。

東海王司馬奕に嫁ぎ、妃（正室）となりました。興寧3年（365年）7月、司馬奕が皇帝として即位すると、庾道憐は皇后に立てられました。しかし、皇后となってからわずか10ヶ月後の太和元年5月戊寅（366年7月5日）に崩じてしまいました。彼女は孝皇后と諡（おくりな）され、敬平陵（けいへいりょう）に葬られました。

太和6年（371年）、司馬奕が廃位され、海西公（かいせいこう）に降格されると、庾道憐もまた海西公夫人に追降されるという憂き目を見ました。太元11年（386年）に司馬奕が亡くなると、庾道憐の遺体は呉県（ごけん）に移され、夫である司馬奕と共に合葬されました。

庾道憐は、皇后としての短い期間を過ごし、夫の司馬奕と共にその地位を失うという、激動の時代に翻弄された女性でした。彼女の生涯は、東晋の政治情勢の不安定さを物語る一例と言えるでしょう。

参考文献

* 『晋書』巻32 列伝第2 后妃下

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