廃アルカリ

廃アルカリの概要

廃アルカリとは、水溶液状の廃棄物の中でアルカリ性のものを指します。日本の法律においては、廃棄物処理法に基づき、pHが7.0を上回るものが廃アルカリとして分類されます。これには、一般的に塩基として認識されない物質も含まれる場合があります。

法令上の定義

廃棄物処理法において、特にpH12.5以上の廃アルカリは、特別管理産業廃棄物として認定され、特別な取り扱いが求められます。さらに、シアン化物やヒ素、六価クロムなどの特定有害物質を含む場合には、特定有害産業廃棄物として扱われます。油状の液体は廃油として、泥状の物体は汚泥として分別されます。また、毒物及び劇物取締法に基づく成分が含まれていても、その廃液は劇物としては扱われないことがあります。たとえば、水酸化ナトリウムを5%以上含む製品は劇物ですが、同じ成分を含む廃液はこれに該当しません。このように、廃棄物処理法と水質汚濁防止法の間には明確な線引きが存在しません。

廃アルカリの分類と排出源

廃アルカリの代表的な物質は水酸化ナトリウムであり、様々な産業から排出されます。具体的には、紙パルプ、レーヨンや石鹸、アルミナの製造工程において発生します。また、イオン交換膜からの排水や、清掃工場での中和処理廃液も廃アルカリに含まれます。さらに、コークス炉や化学工業の廃液、写真現像に伴う廃液もこのカテゴリーに分類されます。

処理およびリサイクル

廃アルカリの処理には様々な方法があります。たとえば、アルミニウムのエッチングに用いる水酸化ナトリウム溶液は、使用後にアルミン酸ナトリウムが蓄積して性能が低下します。この廃液は濃縮し、水酸化アルミニウムを加温して攪拌すると、水酸化ナトリウムと水酸化アルミニウムに分解され、再びエッチング液として再利用可能です。

また、バガスからのパルプ製造や、シクロヘキサノンを生成する工程では、有機物を含む水酸化ナトリウム廃液が生成されます。この廃液は濃縮し焼却して有機物を除去しますが、その過程で得られた炭酸ナトリウムは水酸化カルシウムと反応させることで、苛性化し水酸化ナトリウムに再変換されます。これによりリサイクルが実現されます。

さらに、有機物を含む廃アルカリは湿式酸化法を用いて分解されることもあります。酸化チタン(IV)やジルコニアを触媒とすることで、アンモニアを窒素に変換したり、硫黄化合物を硫酸にすることが可能で、これにより反応熱を回収することも可能です。この手法は、シアン廃液や廃酸の処理にも使用されます。

結論

廃アルカリは、さまざまな産業から発生するアルカリ性の廃棄物であり、その取り扱いや処理方法は法令に基づき明確に規定されています。適切な処理を行うことで、環境への影響を軽減し再利用を促進することが求められています。

もう一度検索