廃油

廃油について

廃油とは、鉱物油や動植物油などの油脂や油状の物質を指します。日本の法律では、引火点が70℃未満の廃油は特別管理産業廃棄物として扱われ、適切な管理が必要です。廃油は様々な分類があり、それぞれ異なる排出源から発生します。

廃油の種類と排出源

廃油は主に以下のような種類に分類されます。

1. 潤滑油系廃油: これはエンジンオイルや冷凍機油、切削油、絶縁油などを含みます。この廃油はガソリンスタンド、自動車修理工場、機械工場、発電所などから排出されます。

2. 燃料油系廃油: 灯油、ガソリン、タンカーからのバラスト水などがこれに該当し、主にガソリンスタンド、製油所、船舶から生じます。

3. タール・ピッチ系廃油: アスファルトやピッチ、ワックス、パラフィンといった物質で、これらは油脂化学工場や道路工事現場から発生します。

4. 廃溶剤類: トルエン、キシレン、アセトン、トリクロロエチレンなどの有機溶剤が含まれ、塗料工場や印刷工場、化学工場から排出されます。

5. 動植物油類: 牛脂、大豆油、魚油などで、食品工場や外食産業、給食施設、さらには一般家庭からも出ます。

6. その他の廃油: タンクスラッジや廃活性白土、硫酸ピッチ、廃モノマー、油分を含むウエスなども廃油に含まれます。

処理とリサイクル

日本では、使用済み潤滑油が2004年度に119万トン排出され、そのうち約半分は再生重油として利用されています。残りは自家燃料や焼却処分にされ、各々が約25%の割合を占めます。再生プロセスでは、硫酸処理によって有害物質を取り除き、活性白土で不純物を吸着させてから潤滑油添加剤を加え、再び潤滑油として生まれ変わることが可能です。

廃食用油は、エステル交換反応を利用してバイオディーゼル燃料に変換され、自動車用の燃料として再利用されます。家庭から出た使用済み食用油が廃水に混入すると水質汚染を引き起こすため、処理剤を使って固化させるか、吸着剤を使って可燃ごみとして処分する方法があります。中には、水酸化ナトリウムを加えて廃油石鹸を作る取り組みを行う地域もあります。

また、食用油の精製を通じて自動車やバイクのエンジンオイルの代替品とする「バイオディーゼル燃料」の活用も進んでおり、羽田空港では2008年から食堂街から出た廃油を処理し、燃料として利用しています。

灯油は長期間保存すると酸化し、異常燃焼の原因となることがあるため、劣化した場合はガソリンスタンドでの引き取りが可能です。

まとめ

廃油の適切な処理とリサイクルは、環境保護の観点から非常に重要な課題です。各種の廃油の性質を理解し、廃油を無駄にせず資源として再利用する取り組みが必要とされています。

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