廣澤金次郎

広沢金次郎の生涯

広沢金次郎（ひろさわ きんじろう）は、1871年8月28日に誕生し、1928年12月13日に亡くなった日本の官僚、政治家、実業家です。彼は長門国（現在の山口県）出身で、藤原秀郷の子孫として知られ、波多野を姓として中世に遡る家柄です。父の広沢真臣は維新の十傑の一人でしたが、金次郎が生まれる半年前に刺客に襲われて命を落としました。このような暗い背景の中、金次郎は育ちました。

彼は1878年頃に、十五銀行の支配人のもとで学び、慶應義塾幼稚舎に入学。その後、イギリスのケンブリッジ大学に進学し、法律を専攻しました。さらにスイスでの留学を経て、再びイギリスに戻り、法律実務を学びました。こうして得た専門知識を元に、日本に帰国した彼は、正式に官界と政界に足を踏み入れました。

金次郎は1884年に伯爵の爵位を授与され、日本の各種公職を歴任しました。特に注目すべきは、スペインの駐箚公使や貴族院の伯爵議員としての活動です。彼は1897年に貴族院議員に当選し、以降も再選を果たしながら長年にわたってその職を全うしました。約三期にわたる議員としての任期を通じて、彼は貴族院内の研究会に所属しました。また、1900年まで内閣総理大臣秘書官も務め、日本の政策形成に寄与しました。

実業分野においても、金次郎は重要な役割を果たしました。日本製鋼所および日英共同事業に携わり、また武蔵電気鉄道の社長として経営に携わりました。これらの業務を通じて、彼は日本の産業の発展に貢献したのです。

金次郎はその生涯で数多くの栄典にも恵まれました。1903年には正四位、1910年には従三位、1919年には正三位を叙せられ、1928年には従二位となりました。また、1884年には伯爵の称号を得ており、1906年には勲四等旭日小綬章を授与されました。さらに、1927年にはポルトガル共和国からクリスト勲章グランクロア、スペイン王国からイサベル・ラ・カトリカ勲章グランクロアを受章しています。

家族についても、広沢金次郎は大家族を持っていました。父の真臣の他にも、前妻・千代子、後妻・亀子を有し、長男の眞吾は国士舘大学教授として知られています。三女の直子は一時、政治家池田勇人の妻でした。広沢家は古い歴史を持ち、名門としての地位を誇っていました。

金次郎の人間としての魅力や政治家としての功績は、今なお多くの日本人に影響を与え続けています。その生涯は、官界、実業界、そして家族との関係を通じて、日本の近代史の一端を担った人物として記憶されることでしょう。

もう一度検索